平均年齢74歳の学生約350人が集う「奈良シニア大学」が、熱気にあふれている。奈良県内に2校、東京と大阪に各1校ずつ開かれ、週1回の講義には100人以上のシニアが参加。入院中の学生が「大病したけど、リハビリして、必ず復帰するから」と手紙を寄せ、再び通うことを励みにしているという。
いきいきと通うシニア学生たち
木曜の午前10時前、JR奈良駅近くのカルチャーセンター「はぐくみセンター」の大会議室は、100名以上のシニアでほぼ満員となる。開講時間が近づくにつれ、話し声がにぎやかさを増し、熱気が高まる。カラフルな服をまとう女性、白髪をきれいにカットした男性。知り合いを見つけると笑顔で手を振り、同窓会のような活気に包まれる。
男女比はほぼ半々。一般的な生涯学習の場は女性が多い印象があるが、この会場では男性も目立つ。定年後の男性たちにとって、奈良シニア大学は新たな居場所となっている。
90歳男性「夏にドローンの資格を取る予定です」
受講生の中には、90歳でドローンの資格取得を目指す男性もいる。「夏にドローンの資格を取る予定です」と語るその姿は、年齢を感じさせない。講義は多彩な講師を迎え、歴史や健康、テクノロジーなど幅広いテーマを扱う。学びを通じて、学生たちは新たな目標を見つけている。
20代から30代の若手スタッフとの関係
大学の運営には20代から30代の若手スタッフが携わり、シニア学生との交流が生まれている。スタッフは講義の準備や受付、個別の相談対応を行い、世代を超えたコミュニケーションが活発だ。シニアたちは若いスタッフから新しい視点を得ると同時に、自身の経験を伝える機会にもなっている。
キャンパスのない大学
奈良シニア大学には固定のキャンパスがない。講義は奈良市内のカルチャーセンターや公民館など、複数の会場で開催される。この「キャンパスがない」という特徴が、学生たちに自由な学びを提供している。毎週異なる場所で学ぶことで、移動そのものが楽しみになるという声も聞かれる。
仲間と交流し生活に'張り'→服装にも変化
学生同士の交流は、生活に張りをもたらしている。ある女性は「この年で飲み仲間ができるとは思わなかった」と語る。講義後の懇親会や自主サークル活動を通じて、友人関係が広がっている。さらに、服装にも変化が見られ、おしゃれをして通う学生が増えた。外見への関心が高まることで、自己肯定感の向上につながっている。
奈良シニア大学が求められる理由
高齢化が進む日本で、シニア向けの学びの場への需要は高まっている。奈良シニア大学は、単なる知識習得の場ではなく、社会とのつながりを維持する重要な役割を果たしている。特に、退職後の男性にとっては、新たな人間関係を構築する貴重な機会となっている。大学側は「学びを通じて、人生後半を豊かに過ごしてほしい」と語る。
入院中の学生が「大病したけど、リハビリして、必ず復帰するから」と手紙を寄せるエピソードは、この大学がどれほど学生の心の支えになっているかを示している。復帰後、再び講義に参加する姿は、他の学生にも勇気を与えている。



