地元就職アピール、自治体が帰省費用負担で学生招く動き相次ぐ
地元就職アピール、自治体が帰省費用負担で学生招く動き

人手不足を背景に就職活動が学生優位の「売り手市場」となる中、出身地域を離れた都市部の大学生に地方での就職をアピールしようと、自治体が帰省費用を負担して地元に招き、企業との交流機会を設ける動きが相次いでいる。

新幹線車内で会社説明会

東京・上野駅を1日午後に出発した秋田新幹線の車内で、秋田県に拠点を置く企業10社の担当者が学生16人に自社の魅力を訴えた。「若いうちから様々な仕事を任されますよ」「海外拠点が各地にあります」などと語りかけた。

このイベントは、地元企業と首都圏在住の学生との交流を図ろうと、学生の運賃を無料とし、県などが昨年12月に続いて主催した。夏休みは大学3年生が企業研究に取り組む時期で、県内出身者が帰省を兼ねて参加してくれると期待した。

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秋田到着までの約3時間45分、車両内は「会社説明会」の会場に。同県大仙市への帰省時に参加した都内の国立大3年の男性(21)は「関東での就職を考えてきたが、地元企業にも目を向ける良い機会になった」と話した。秋田住宅流通センターの佐藤初美さん(46)は「近年、学生の意識が地方に向いていないと感じる。貴重な機会になった」と手応えを語った。

地域による就職希望の差

就職情報会社「マイナビ」が2027年卒業予定者に実施した調査では、出身高校と同じ地域で就職を希望する学生の割合は、関東出身者の95・7%に対し、東北45・2%、北陸45・0%、四国29・3%と大きな開きがあった。学生は、職種が豊富で待遇面で優位な都市部の企業を志望する傾向があるためだ。

徳島県や福島県の取り組み

徳島県の調査では、県内企業の採用計画に対する実際の採用人数の割合(25年大学新卒)が57・7%だった。県は10日、徳島市で開いた合同企業説明会に関西周辺の学生らを呼び込もうと、大阪、神戸、岡山から片道無料のバスを初めて運行し、21人が利用した。

福島県も今月中旬~9月中旬、県外の学生らを対象に2泊3日で地元企業を巡るツアーを実施し、参加費用を無料にしている。

専門家の評価と指摘

千葉商科大の常見陽平教授(労働社会学)は「県外に進学した学生は地元企業を知る機会が少ないため、就活を意識する今の時期に学生の目を地方に向けようとするイベントには意味がある」と評価。その上で「採用につなげるには、地方にも魅力的な仕事があることを学生に響くように様々な機会で伝えることが大事だ」と指摘している。

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