ロシア国営タス通信は13日、プーチン大統領が北方領土を初めて訪問したと報じた。かつて北方領土で暮らしていた元島民や子孫たちに不安が広がっている。
「なぜ今になって」と元島民
ソ連が北方領土を占領したのは1945年。現在もロシアが実効支配している。かつては元島民が墓参や交流事業で島を訪問することもできたが、ロシアのウクライナ侵攻とともに見送りを余儀なくされている。
「これまで一度も来なかったのに、なぜ今になって」。元島民の得能宏さん(92)=北海道根室市=は、これまで積み上げてきた友好が失われることを心配する。色丹島出身で1948年に島を離れた得能さんは、自身の経験から「今の島民を追い出しては同じこと」と現地のロシア人とも友好を深めてきた。「いつか島に帰ることができたら、一緒に暮らせたら」とさえ思っていたという。
「プーチンが来たからといって、今さら関係ない。でも、長く日ロ関係が冷え込んで親日派の島民の気持ちが離れてしまうことが何より心配だ」と語る。
千島連盟根室支部長の訴え
北方領土の元島民らで作る千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)の根室支部長を務める角鹿泰司さん(89)は、「政府には、平和条約を結ぶことを前提に、強い姿勢でロシアと対峙し、話し合いを続けてほしい」と語る。
角鹿さんは歯舞群島の勇留島で暮らしていたが、終戦翌年の1946年4月、家族とともに島を追われた。当時はまだ8歳で、初めのうちは「10年くらいしたら、また島で暮らせるようになるだろう」と思っていたという。しかし、故郷の島は今も戻らない。「この約80年、怒りの気持ちは忘れていない」と話す。
国後島・泊村出身の野口繁正さんの思いも記事で詳しく伝えているが、有料記事のため続きは会員限定となる。



