「すいか」を「西瓜」以外の漢字でどう書くか。この一見奇妙な問いかけは、子どもの地頭を育てる鍵を握っている。偏差値35から東大に合格した作家の西岡壱誠氏は、著書『子どもの地頭が育つ後悔しない子育て』(総合法令)の中で、正答のない問題に向き合う姿勢こそが「本当に考える力がある人」の共通点だと指摘する。
「すいか」を「西瓜」以外で書く挑戦
西岡氏は、学習の本質は「知らないことに向き合うこと」だと述べる。その具体例として、「すいか」の独自の漢字を考えさせるクイズを紹介。答えは自由で、重要なのは「なぜその漢字を選んだか」を考えるプロセスだ。たとえば、水分が多い果物と捉えれば「水果」、酔うほど美味しい夏の食べ物なら「酔夏」、緑色なら「翠果」、甘くて吸うようなイメージなら「吸甘」「吸果」「吸夏」など、発想次第で無数の答えが生まれる。
「飢餓感」が成長を促す
西岡氏は、人が成長するために欠かせない要素として「飢餓感」を挙げる。「もっとできるはず」「ほかの方法があるはず」という不足を埋めようとするエネルギーが、思考力を次の段階へ押し上げる。この飢餓感は、独自の語呂合わせやリズム暗記、絵を描いて覚えるなど、個性的な勉強法として現れるという。
しかし、現代の学校教育では、参考書にあらかじめ完璧な「まとめ」や「要点」が与えられ、考える余白が少なくなっている。西岡氏は「思考とは、迷ったり、試したり、失敗したりするなかでしか育たない」と警告。ああでもない、こうでもないと頭の中で組み立てながら進むプロセスこそが、脳を働かせ、自分で考える力を育てると説く。
東大生の親に共通する習慣
西岡氏は東大生の親の子育てに共通する特徴として、「答えをすぐに教えない」ことを挙げる。子どもが質問してきたとき、すぐに正解を伝えるのではなく、まず「どう思う?」と問いかけ、自分で考える時間を与える。この距離感が、子どもに「自分で考える習慣」を身につけさせるという。
例えば、「なんでヘビイチゴという名前がついたの?」という質問に対し、親が「ヘビが食べるからだよ」と答えるのではなく、「どんな形をしている? どこに生えている?」と観察を促す。そうすることで、子どもは自ら仮説を立て、納得できる答えを探す力を養う。
「考える余白」が社会で生きる力に
西岡氏は、正解が一つとは限らない問題に取り組み、自分なりの答えを探し続ける力は、大人になってからの仕事や人間関係、人生の壁に直面したときにも「自分で道を切り拓く力」として活きると強調する。著書では、このような教育方針が子どもの地頭を育て、後悔しない子育てにつながると説いている。



