ガクチカはバイトや部活だけ?企業が求める強みの見つけ方
ガクチカはバイトや部活だけ?企業が求める強みの見つけ方

就職活動で多くの企業に聞かれる「学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)」。アルバイトや体育会系の部活・サークルでの活躍をアピールしがちだが、企業はもっと多角的に学生を見ている。専門家のアドバイスを参考に、見落としがちな自分の強みを発見しよう。

強みを四つのブロックで整理する

就活の専門家である学習院大学キャリアセンター担当次長の淡野健さんと、就職支援会社「アイプラグ」取締役COOの直木英訓さんは、自分の強みを「学業×大学内」「学業×大学外」「学業以外×大学内」「学業以外×大学外」の四つのブロックで整理することを提案する。

淡野さんは、必修科目の中に興味がない授業があっても、会社でも興味を持てなくてもやるべき仕事があるとし、「それを丁寧に真面目にこなせるのは立派な能力だ」と指摘。思いがけない学びや気づきが成長に結びついていると話す。

また直木さんは、ゼミなどで身につく「合意形成力」は、企業では異なる部署の社員が集まる会議で着地点を探る力になると説明。説得力ある話し方につながる論理的思考力は、多くの企業が文系人材にも求めているという。

留学やスポーツ、趣味に隠れた強み

直木さんによると、留学経験では、企業は慣れない環境への順応性やタフさにも着目する。会社では異動や新規事業など、それまでのやり方が通用しない環境で、新たな人間関係を構築し順応する柔軟さが求められるからだ。

スポーツで活躍した話をする学生は多いが、淡野さんは挫折や失敗の経験こそ企業は聞きたいと話す。「ケガでレギュラーから外れたが、リハビリを頑張ると同時に、後輩に丁寧に助言した」といったエピソードでは、苦しい時にどう組織に貢献する人材か、企業側が想像できるという。

日常に強みが隠れていることもある。直木さんは、通学に往復3時間かかっていた学生が「頑張ると決めて入学した」「読書に充てている」と話し、長所と認識していなかった例を紹介。「やり抜く力」「困難も前向きに捉える力」があることがわかると語る。

趣味は学生の「熱量」を表しやすいと淡野さんは言う。人見知りの学生が、生け花教室で国籍も世代も違う受講者と発表会の準備をするうち、自ら話しかけ、仕事や海外について聞くようになったなど、好きなものへの熱意を基に「変化し成長する力」を示せると説明する。

プロセス重視で「なぜ、どのように」を伝える

淡野さんは「学生の本分は学業だ。しっかり取り組んでほしい」と強調。就活につながらないと思われがちだが、人柄や強みも十分伝えられるという。例えば「紫式部の研究」で「当時の国民性や文化も調べる必要を感じ、1か月で本を20冊読んだ。国会図書館にも行った」とすれば、課題発見力や行動力、熱意を示せる。新卒採用の多くは、可能性を評価する「ポテンシャル採用」であり、企業が働く姿をイメージし、一緒に働きたいと感じてくれれば成功だと話す。

直木さんは「派手な話は必要ない。企業が重視するのは結果より、『なぜ、どのように』というプロセスだ」と指摘。飲食店のバイトでリーダーなどの肩書がなくても、「客に気持ち良く食事してほしいと、自主的にグラスの二度ふきを3年続けた」といった経験を話せば、自主性、顧客目線、継続力が伝わる。失敗談でも、どう振り返り、改善したかを伝えられれば強みになる。仕事は計画通りにいかないことも多く、対応力こそ企業が注目するからだという。

書類選考で高評価なガクチカは「研究・ゼミ」

人材サービス会社のネオキャリア(東京)が2026年に卒業した大学生らのエントリーシート(ES)479通を分析した結果、書類選考を通過したESのうち、ガクチカの内容で最も多かったのは「研究・ゼミ」だった。同社によると、「研究・ゼミ」が27.1%で、「アルバイト」26.3%、「体育会・スポーツ」26.1%と続いた。

調査は22年卒の学生から実施している。25年卒まで3割を超えていた体育会・スポーツは今回、初めて3割を下回った。一方、研究・ゼミは4年前から10ポイントほど増えた。

調査担当者は「かつては部活動やスポーツの経験が、継続力やリーダーシップを示す『王道のガクチカ』だったが、企業が評価する経験や能力に変化が生じている」と指摘。「評価されるのは、学生がどう課題と向き合い、試行錯誤し、何を学んだか、論理的に伝えられているESだ。経験から得た学びや成長を、自分の言葉で伝えることが重要だ」と話している。