不登校の子、学校復帰より社会復帰目指すフリースクールの日常
不登校の子、社会復帰を目指すフリースクールの日常

不登校の子どもたちが「社会」に戻るために

長野県長野市にあるフリースクール「寺子屋TANQ(タンキュー)」は、不登校の子どもたちが学校復帰ではなく、社会復帰を目指す場として運営されている。運営する市川寛さんは、「子どもを学校に戻すことがゴールではない。しかし、いつか社会には戻っていかなければいけません」と語る。ここには小学校1年生から中学校3年生までの約10人が通い、それぞれが自分のペースで学びを深めている。

市川さんは公立校で13年、私立校で13年8カ月勤務した元教員で、2023年にフリースクールを立ち上げ、2024年3月に現在の長野駅近郊に移転した。不登校の子どもたちと接する中で、「遠くを見据えながら、今の子どもたちが何を心から求めているのかをじっくり聞くことが求められる」と考えるようになったという。

異なるスタートラインから同じゴールを目指すのは困難

寺子屋TANQでは、子どもたち一人ひとりの状況や興味に応じて学びの内容をカスタマイズしている。市川さんは「みんな同じは無理」と断言し、画一的な教育では不登校の子どもたちのニーズに応えられないと指摘する。そのため、個々のスタートラインを尊重し、それぞれが自分の目標に向かって進むことができる環境を整えている。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

自分の目標に向けて「自己決定」を大切に

このフリースクールでは、子どもたちの「自己決定」を何よりも重視している。例えば、何を学ぶか、どのように過ごすかは、子ども自身が決める。市川さんは「自分で決める経験を積むことで、社会に出たときに主体的に行動できるようになる」と説明する。また、答えが一つではない問いに「体験的に」出会う学びも特徴で、フィールドワークや実践的な活動を通じて、考える力を育んでいる。

「なぜ?」という親の焦りが「コースを外れるだけだ」に変わるまで

不登校の子どもを持つ親からは、当初「なぜ学校に行かないのか」「このままで大丈夫か」といった焦りの声が聞かれることも多い。しかし、寺子屋TANQでの時間を経て、多くの保護者は「コースを外れるだけだ」と捉えられるようになる。市川さんは「学校というレールから外れただけで、子どもには別の道がある。社会の担い手を学校以外の場所でも育むことが重要だ」と語る。

文部科学省の調査によると、2023年度の不登校児童生徒数は約30万人に上り、過去最多を更新している。こうした中、寺子屋TANQのようなフリースクールの役割はますます重要になっている。市川さんは「不登校は決してマイナスではなく、新しい学びのチャンス。子どもたちが自分のペースで成長できる場を提供し続けたい」と話す。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ