教室の多様性と個別支援:エージェンシーとUDLで変わる授業の実態
多様な子を支える教室の変化:エージェンシーとUDLの実践

教室の多様性と教師の負担

学校現場では、子どもたちの多様性が急速に進んでおり、従来の一律な授業では対応が難しくなっている。北海道公立小学校教諭で公認心理師の山田洋一氏は、教室に単一の価値観が存在しない構造的な変化を指摘する。例えば、従来は教師が一人ひとりに合わせた支援を「用意してあげる」必要があり、理想ではあるが現実には持続可能ではないという。

エージェンシーが鍵に

多様性に対応する鍵となるのが「エージェンシー」、つまり自分に合った学び方を選び主体的にゴールへ向かう力だ。教師が一方的に教える従来型の授業では、多様性を前提とする教室を支えきれない。算数の時間では、教師が「今日は自分に合ったやり方で解いてみよう」と声をかけると、子どもたちは自然と動き出す。ある子はタブレットで問題文を読み上げ、別の子は線分図テンプレートを呼び出す。具体物を使いたい子は棚からブロックを取り出し、イラストで整理したい子はホワイトボードを手に取る。教師はすべてを「与える」のではなく、子どもが自分で選び工夫できる環境を整える役割に変わる。これにより教師の負担は軽くなるという。

1人1台端末の活用

この変化を後押ししているのが、1人1台端末の存在だ。読み上げ、拡大、図のテンプレート、動画解説、音声入力など、子どもが自分に合った学び方を選ぶための選択肢が一気に広がった。山田氏は、個別支援は特定の子だけの「特別扱い」ではなく、学びへの参加を全員に保障する環境調整であると強調する。

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UDLの考え方

アメリカのCASTが提唱したUDL(学びのユニバーサルデザイン)の考え方が注目されるのも、最初から多様性を前提に授業を設計する必要性が高まっているからだ。現場ではすでに多くの工夫が始まっており、次の3つの変化が見られる。1つ目は、教師が選択肢を提示し子どもが自分で選ぶこと。2つ目は、端末を活用した個別最適化。3つ目は、教師の役割が支援者から環境整備者へとシフトしていることだ。これからの学校には、個別支援が当たり前となる視点が必要とされている。

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