親が介入すべき?保育学の権威が語る子どものケンカと仲間外れの価値
子どものケンカと仲間外れの価値、親の介入は?

「うちの子が仲間外れにされたらどうしよう」――そんな不安を抱える親は少なくない。ノンフィクションライターの山川徹さんは、自身の体験を通じて、保育学の権威である学習院大学教授の秋田喜代美さんに話を聞いた。秋田さんは「親が介入するのではなく、子ども同士で解決することが重要だ」と語る。

モンスターペアレントは他人事ではない

山川さんは、3歳の長男Kを連れて公園に行ったときの出来事を振り返る。砂場で遊んでいた近所の同年代の子どもたちにKが「遊ぼう!」と声をかけると、「ダメ!」と拒否された。Kは寂しそうに砂をいじり始めたが、一向に仲間に入れてもらえない。山川さんは「これが子どもの社会なのか」と残酷さを感じると同時に、自分も小学生の頃、弟を遊びから排除した記憶がよみがえった。

「まさか自分がモンスターペアレントになるとは思っていなかった」と山川さん。しかし、子どものトラブルに親が過剰に介入する姿は、自分にも起こりうると気づいたという。

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子どもの仲間外れ、どう対応すべきか

秋田教授は、子どものケンカや仲間外れは、成長のプロセスとして重要な意味を持つと指摘する。「子どもはトラブルを通じて、感情のコントロールや他者との関わり方を学びます。親がすぐに解決しようとすると、その機会を奪ってしまいます」と秋田教授。

特に3歳ごろの子どもは、まだ言葉でうまく表現できず、行動で示すことが多い。仲間外れにされても、子ども自身がどう対処するか考えることで、社会性が育まれるという。

中学生のいじめとは違う

秋田教授は「幼児期の仲間外れは、中学生のいじめとはまったく異なる」と強調する。「幼児の場合は、特定の相手を排除する意図はなく、単に今遊んでいる相手に集中したいという衝動から起こることが多い。時間が経てば自然に解消されるケースがほとんどです」

親は、子どもがトラブルに遭ったとき、まずは見守ることが大切だ。ただし、ケガの危険がある場合や、明らかに意図的な排除が続く場合は、大人の介入も必要になる。

父親がやるべき“うまい声かけ”

山川さんは「父親として、どのような声かけをすればいいのか」と質問した。秋田教授は「まず、子どもの気持ちを受け止めることが重要です。『悲しかったね』『嫌だったね』と共感し、その上で『どうしたらよかったかな』と一緒に考えることで、子どもは自分で解決策を見つける力をつけます」とアドバイスする。

また、親が「遊びたいならこう言いなさい」と指示するのではなく、子ども自身が言葉を選べるように促すことが大切だという。

ケンカやトラブルがないのは良いことか

「トラブルがないのが一番良い」と思われがちだが、秋田教授は「ケンカやトラブルがない子どもは、むしろ感情表現が苦手な場合がある」と警鐘を鳴らす。「情動経験、つまり喜怒哀楽をしっかり経験することが、情緒の発達には欠かせません。親は、子どもが感情を表に出せる環境を整えてあげてください」

山川さんは、この話を聞いて「息子の仲間外れも、成長の一部なのだ」と納得したという。親として、子どもを信じて見守る姿勢が、結果的に子どもの成長を促すのだろう。

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