国語×社会のコラボ授業でカフェテリア復活企画、青山学院中等部
国語×社会のコラボ授業でカフェテリア復活企画、青山学院中等部

青山学院中等部(東京都渋谷区)は今年度、国語科と社会科のコラボ授業「地域デザイン探究」の中で「カフェテリア活用企画」に取り組んでいる。この授業は中3を対象に実施されている選択授業の一つで、生徒たちは、コロナ禍で使用制限されて以来、かつてのにぎわいが戻っていない校内のカフェテリアを、憩いの場として復活させる企画を外部企業と連携しながら探究している。

50年以上続く選択授業での新たな試み

同校は1971年、中3のカリキュラムに週2時間の選択授業を取り入れ、50年以上継続してきた。この選択授業は、総合的な学習の充実、および生徒の資質能力の向上を図ることを目的に、各教科の担当教師が自分の専門領域を生かした講座を企画し、例年25前後の講座が開かれる。今年度は22講座が開かれており、そのうちの一つが国語科と社会科のコラボ授業「地域デザイン探究」だ。これまでも数学科と英語科、数学科と社会科など教科横断の講座はあったが、国語科と社会科の連携はここ15年では初めての試みだという。

担当するのは国語科の松島淳教諭と社会科の三好文子教諭。松島教諭は「講座名の中の『地域』には、共同体やコミュニティーが含まれています。また、『デザイン』は、その場の問題を解決したり、調和を生み出したりする活動を指しています。三好教諭も私も、以前からコミュニティーを元気にするような取り組みに興味を持っていましたので、そこに焦点を当てた講座をつくりました」と説明する。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

街歩きと外部講師による企画立案

授業は水曜日の5、6時間目に2時間連続で行われ、受講する生徒は24人。学期ごとにテーマを定め、1学期は「わたし×身近な地域」、2学期は「わたし×国際・日本」、3学期は「わたし×○○」という内容だ。生徒たちはそれぞれのテーマに即した問題を見つけ、グループで解決に取り組む。

授業の特徴は、国語科の要素である「話す」「聞く」「話し合う」の言語活動を通して社会課題を掘り下げる点にある。ただ、あまり教科色を出さないように、国語科と社会科それぞれの指導事項はあえて設けなかった。社会課題を解決するためのアプローチの手法を学び、その過程を体験することが主な目的だからだという。

「わたし×身近な地域」がテーマの1学期は、前半で学校周辺の街歩きを行って地域活性化のアイデアを見つけ、後半は外部から講師を招いて校内カフェテリアの活用企画を考えていく。6月17日には、三軒茶屋を中心に東京・世田谷区の町おこしなどに取り組む企業「三茶ワークカンパニー」から講師を招き、グループワークが行われた。松島教諭と同社共同代表の吉田亮介氏が旧知だったことから協力を得て、吉田氏を含む3人を特別講師として迎えた。

授業ではまず、前回までの街歩きで得たアイデアをカフェテリアの活用企画に生かそうという授業構想の説明と、三茶ワークカンパニーが企画・運営している地域活性化プロジェクトの紹介などが行われた。その後、生徒たちは6人ずつの4グループに分かれて企画案の作成に入った。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ

理想のカフェテリア像を語り合う

生徒たちは、ミニサイズのホワイトボードをメモ帳代わりにしながら、カフェテリアをどのような場所にしたいか意見を出し合う。あるグループは「大画面のモニターを使って、スポーツ観戦やゲームができたらいいね」「だったら、人工芝を敷いて、寝転がれるようにしようよ」などと理想像を語り合った。別のグループは「学年もクラスも違う生徒が気軽に交流できる場になるといいな」「休憩したり、リラックスしたりする場所だから、オーガニックアイスを販売できたらいいんだけど」など、カフェテリアを中等部の交流の場にするアイデアを話し合った。

実際に本校舎1階のカフェテリアを見に行って企画案を練るグループもあった。校舎の図面を手に、レイアウトや広さを確認しつつ活発にアイデアを出し合い、「テラスに出ると、風が気持ちいいね」「ここに芝生を敷くといいんじゃない? お金はいくらくらいかかるんだろう」などと話し合いながら提案内容を固めていった。

各グループには特別講師と松島教諭が付いて、ファシリテーター役を務めた。三好教諭は、外部講師を迎えた授業がスムーズに進むよう、教室全体に目配りをして進行をサポートした。授業のあと、三好教諭は「今週は夢を語ることができる楽しい時間だったはず。来週は、プレゼンに向けて発表資料を作成する段階に入りますので、必要な物品の調達手段や協力者という現実問題に突き当たります。ここから、課題解決への具体的な取り組みが始まります」と語った。

横断的に考えられる人に

「地域デザイン探究」はカフェテリア活用企画を踏まえて今後、身近な地域から日本、国際へとテーマの範囲を広げていく。松島教諭は「ここまでのコラボ授業の中でも、生徒たちには気付きや目覚めがあります」と手応えを話す。「渋谷の街歩きやカフェテリア活用企画を通して生徒たちは、外部からいろいろな刺激を受け、課題解決に前向きに取り組んでいます。学習活動をとても楽しんでいるようです」

三好教諭は、多様なバックグラウンドを持つ職業人と会って話を聞く機会があることもこの講座の特長だという。「中学生にとっては、普段自分たちが出会わないような年代や職業の方との出会いそのものがインプットになり、刺激になると思うのです。そこで語られる言葉は、私たち教員が語る言葉とは重みも響きも違ってきます。いろいろな意味で教育的効果があると思います。生徒たちにとってロールモデルになるような人物を迎えられたらいいですね」

2学期以降は、受講している生徒たちの反応や状況を見ながら、弾力的に授業を運営していくという。松島教諭は「現代の社会課題は、専門家一人では解決できない問題が多いと思います。学校教育に置き換えると、一つの教科の視点だけでは解決できない問題や、物事の進み具合があるということです。ですから、教科横断の授業で、『専門家同士がタッグを組めば課題解決が可能になる』ということを見せられたらと思います。生徒たちには、いろいろな角度から眺めれば異なる解決策があるということを知ってほしいですし、横断的に考えられる人になってほしい」と期待を込めた。