大学生の不登校も、児童生徒と同様に懸念が広がっている。AIを活用した中退予測の研究からは、欠席状況や成績、出身高校のタイプによって傾向に差が出ることが示唆されている。
「中退予防に取り組まない大学は生き残れない」
東京都市大学共通教育部教授の白鳥成彦氏は、次のように指摘する。
「中退はマイナスのイメージが強いので、大学は予防に取り組んでいることを宣言しにくいのですが、多様な学生が入学してくる時代となった今、入学者のケアは大学の大切な役割といえます。今後は、中退予防に取り組まない大学は生き残れないのではないでしょうか」
白鳥氏は、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科で修士(政策・メディア)、東京工業大学環境・社会理工学院で博士(工学)を取得。嘉悦大学を経て、2024年4月より現職に就いている。専門は教育工学、教育社会学、IR、データサイエンスで、高等教育機関におけるAIやIRデータを活用した中退予測・中退防止策、教学マネジメント、学生支援の研究に取り組んでいる。
高校にも求められる「大学への移行支援」
大学側の対応に加えて、高校側にも大学への移行支援が求められる。
「高校では、大学の偏差値やネームバリューだけでなく、その生徒が大学生活にスムーズに移行できるかを見据えた進路指導や支援が必要です。オンライン講義も選択できる授業形態か、ゆるやかなペースの学びも可能にする履修の柔軟性があるか、カウンセラーの配置など入学後の相談体制は充実しているか。通学に不安のある生徒には、オープンキャンパスや個別相談でそれらの点を確認するように促すことも必要です。また、高校においても、ある授業で生徒の意識や欠席日数がどう変化したかといった、短期的な効果をDXの手法で分析する取り組みは有効かもしれません。そうしたデータ分析の積み重ねにより、高校段階から将来何を勉強したいのかを考え、探究学習を深めていく機会を提供できるようになれば、大学入学後もよりスムーズに適応していけるはずです」
「両輪」がそろうことがカギ
高校と大学の境界をなだらかにし、段階的に学びのスタイルを移行させること。大学側はデータに基づく早期介入と組織的支援を行う体制を整えること。その両輪がそろって初めて、多様な学生を大学での学びにつなぎとめる道が開けると示している。



