不登校の子持つ社員支援、休暇・休業制度導入する企業が拡大
不登校の子持つ社員支援、休暇制度導入企業が拡大

不登校の子どもを持つ社員を支援するため、休暇や休業を取得できる制度を導入する企業が相次いでいる。文部科学省の調査によると、2024年度の小中学校の不登校児童生徒は12年連続で増加し、35万3970人に達した。小学生では44人に1人、中学生では15人に1人の割合で、社会課題として深刻化している。こうした中、子どものケアと仕事の両立に悩む保護者が増え、企業は社員の離職防止にも対応を迫られている。

JR西日本、中学3年まで対象拡大

JR西日本(大阪市)は2026年4月、中学3年生までの不登校の子どもを持つ社員を対象に、月4日まで休日を追加取得できる制度を導入した。従来は小学6年生まで認めていた育児両立のための休日制度を拡充した形だ。同社人財戦略部課長の吉岡照さんは「外から見えにくい困り事を抱える社員を支え、キャリアをあきらめず活躍できる環境づくりのため」と説明する。

同社を通じて書面で取材に応じた30歳代の女性社員は、中学生の息子が小学校中学年から欠席や遅刻が続き、旧制度で対応していたが、中学生になると対象外となるため「仕事を続けるのが難しいのでは」と悩んでいた。新制度により、自宅での学習支援や登下校の送迎が可能になり、「息子が安心し、心の余裕ができた」と語る。

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住友林業、最長3年の休業制度

住友林業(東京都)は2026年1月、家族のケアと仕事の両立支援を目的に休業制度を導入。不登校や発達障害の子どもと同居する社員も対象とし、最長3年まで休業を取得できる。また、短時間勤務や週休3日制勤務も3年間利用可能とした。社員からは「いざという時に状況に応じて制度を使えるので安心」との声が上がっている。

日本総研、社内セミナーで理解促進

日本総合研究所(東京都)では、社員の経験が支援機運につながった。研究員の井上岳一さん(56)は2025年7月、長男(中学3年)が小学生の時に不登校になった経験を社内コラムで公開。「指示や注意をしても子どもは変わらない。親ではなく仲間になろう」と決め、見守るうちに長男の笑顔が戻り、中学入学を機に登校するようになったという。

同社は2026年4月、子どもの看護休暇制度を改定し、対象を小学6年から中学3年まで拡大。不登校対応も理由として認めた。不登校に関する社内セミナーを開催し、井上さんも招いて経験を共有。ダイバーシティ経営推進室長の亀山典子さんは「不登校について会社全体で理解を深める必要を感じた。子どもをケアする社員に寄り添い、働き方を一緒に考えたい」と話す。

親の離職リスク、84%が「辞めたい」経験

不登校支援に取り組むNPO法人「キーデザイン」(宇都宮市)が2026年4月~5月に不登校の子の親1234人に行ったインターネット調査では、子どもの不登校や行きたがらない影響で退職した母親が2割を占めた。就労者のうち仕事を辞めたいと思ったことが「ある」と答えた人は全体の84%に上り、潜在的な離職リスクの高さが浮き彫りになった。

文科省と厚生労働省は2025年11月、不登校の子を持つ労働者の離職防止を目的にチラシを作成。休業制度を導入した企業事例や、状況によっては介護休業を取得できることを紹介し、経済団体にも周知を求めた。人材不足の中、経験のある社員の離職を防ぎたい企業が、制度導入の動きを加速させている。

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専門家「相談できる環境づくりを」

働きづらさを抱える人の就労を支援する名古屋市の社会保険労務士、後藤宏さんは「企業は、不登校の子どものケアと仕事の両立に悩み、離職しかねない社員が相談できる環境をつくることが望ましい。多様な状況に応じた働き方を社員とともに考え、安心して働き続けられるよう支援することが求められる」と指摘する。