実業家の本田直之氏(レバレッジコンサルティング代表取締役社長)は57歳で柔術を始め、靱帯断裂の大けがを負った。これまでの人生前半で成功してきたアプローチが通用しない「60歳の霧」に直面し、自身の経験から人生後半の戦略について語っている。
57歳、初めての敗北
2025年5月、57歳になる直前、本田氏は柔術の道場に通い始めた。初日から何度もタップ(ギブアップ)を経験。知り合いも格闘技経験もない中で、これまでの自分のやり方がまったく通じない場所に立ったという。
「首に腕が回った瞬間、息が詰まった。苦しくて、相手の体を叩いた。それがタップというギブアップの合図です」と本田氏は振り返る。
これまでの成功体験が通用しない現実
本田氏は40歳からトライアスロンを始め、50歳でIRONMAN Barcelonaの自己ベストを更新。42歳の記録を8年後に塗り替えるなど、年齢をハンデにしない競技で成功してきた。しかし柔術では筋力や体力、根性だけでは全く通用せず、若い相手や体の小さな相手にも簡単にやられてしまった。
「同じように戦えると思っていましたが、まったく通じなかった。頭で考えるより先に相手の体が動き、自分が動こうとしたときにはもう遅い。力を入れる場所も抜く場所も分からないまま、気づけばまたタップしていました」と語る。
靱帯断裂と「60歳の霧」
柔術を始めてからの1年で、それまでの人生では考えられないほどのけがをした。靱帯を断裂し、手術を受けることに。練習から帰るたびに体のどこかが痛んだ。
「いったい、なぜ57歳にもなって、こんなことをやっているんだろう」と自問する日々。この経験から、本田氏は人生前半の「アクセル全開」の戦い方では通用しない「60歳の霧」に気づいたという。
「必要なのは若い頃の自分に戻ることではなく、今の自分に合う戦い方に変えていくことなのではないか」と述べている。
人生をアップデートし続ける必要性
本田氏は20年前、『レバレッジ・シンキング』などで「人生を加速させる方法」をテーマにしていた。しかし50代後半に入り、かつてのやり方が通用しなくなったとき、どう対処すべきかについて、新著『セカンドハーフ戦略 人生後半戦、何を捨て、何を始めるか』(KADOKAWA、8月17日発売)で詳しく述べている。
「自分の悩みを書いたことがなかった。20年前のテーマは『人生を加速させる方法』だったが、今は人生をアップデートし続けることの重要性を感じている」と語る。
本田氏の経験は、人生後半に差し掛かった多くの人々に、新たな視点と戦略の必要性を示唆している。



