記録的猛暑を受けて、都道府県発注の建設工事で真夏の現場作業を一定期間休む「夏季休工」を、10都府県が導入または導入を予定していることが、読売新聞の自治体アンケートで分かった。23県も導入に向けて検討している。国土交通省も今年度から導入しており、熱中症の危険性が増す中で労働環境の改善に向けた動きが広がっている。
国交省が今年度から本格導入
国交省は今年度から、同省地方整備局発注の建設工事(道路舗装、河川の掘削など)で本格導入した。国側が休工期間を明示して発注するか、受注後に国側と業者が休工期間を設けるかを協議する仕組みで、前者については今年度、約20件の工事で導入予定。工期延長に伴う経費増加分の負担は、業者と国側が協議して決める。
10都府県が導入・予定、23県が検討
都道府県へのアンケートは7~8月に実施。同省と同様の制度の導入状況について尋ね、全都道府県から回答を得た。「既に導入」は東京、茨城、福井、長野、岐阜、静岡、滋賀、京都の8都府県で、長野と岐阜以外は今年導入した。「導入予定」は千葉(時期未定)と大阪(今月中)の2府県。「導入に向けて検討中」は広島、福岡など23県に上った。
5月に導入した東京都は「作業現場での熱中症が増え、今後も継続的に猛暑が予想される」として、7~8月にかかる建設工事で2か月連続の休工を可能とした。6月導入の福井県は「地元の建設業界から、作業員の健康管理や担い手確保に向けた対策を求める声があった」としている。
導入しない理由や懸念も
導入予定がないのは14道県で、理由は「日給制の作業員の収入が減る」(奈良県)、「冬季は積雪により施工が難しく、真夏に休めば作業日数が不足する」(富山県)などだった。
建設業界では物価高による建築資材の高騰や人件費の上昇が続いており、一部の自治体からは「工期が延びれば工費が膨らみ、投入する公金が増える恐れがある」との懸念も聞かれた。
他の猛暑対策と熱中症の実態
他の猛暑対策も尋ねたところ、「早朝施工」「作業時間の短縮」「無人重機の遠隔施工」が挙がった。
厚生労働省によると、職場での熱中症による死傷者は2016~25年、建設業が業種別で最多の計1899人に上り、うち死者も計94人で最も多い。今夏も最高気温40度以上の「酷暑日」が各地で観測されるなど、建設現場での熱中症リスクが高まっている。



