埼玉県の下水処理場から出る汚泥の燃焼灰を活用した肥料が製品化され、先月から販売が始まった。国内で使われる肥料の多くは海外産で価格上昇が懸念される中、燃焼灰が原料の肥料が広がれば安定供給につながると期待されている。
汚泥の燃焼灰を肥料に
肥料の原料は、県荒川水循環センター(戸田市)で下水処理の過程で発生した汚泥を燃やした灰。これまではセメントの原料として再利用されていた。
県は汚泥を肥料の原料として活用するため、2024年に全国の自治体で初めて農林水産省の規格に登録した。同省が2023年に下水汚泥などを活用した肥料の安定供給を目的に新たな規格を創設したことに対応した。
「クマムシくん888」の特徴
今回、汚泥の燃焼灰を使って肥料を製品化したのは、肥料製造販売業「朝日アグリア」(東京)。海外に頼る肥料原料の現状を変えようと、国内で利用されていない資源の活用に取り組んでいるという。
製品は下水処理の過程で使う微生物「クマムシ」に由来し、「クマムシくん888」と名付けられた。肥料の3要素である窒素、リン酸、カリウムを8%ずつ配合している。
県などが実施した野菜の栽培試験では、一般的な肥料と同等の効果が認められ、発売に踏み切った。現在は県内のJAで取り扱われている。
循環経済への貢献
県は下水道のキャラクター「クマムシくん」を作り、親しみを持てるようPRしている。下水道事業課の担当者は「毎日発生する下水汚泥の燃焼灰を利用すれば、サーキュラーエコノミー(循環経済)に貢献できる。肥料の安定供給にもつながる」と話す。



