第39期竜王戦6組決勝が8月5日に行われ、西田拓也六段(34)が岡部怜央六段(27)を破り、初のクラス優勝を飾った。西田六段は生粋の振り飛車党だったが、近年は居飛車の雁木を指し始めており、そのきっかけのひとつが「先手番で向かい飛車を指したい」という思いだったという。
「突かぬなら、突かせてみよう△8五歩」
振り飛車党の相手は居飛車側に△8五歩を保留することが多く、西田六段は「突かぬなら、突かせてみよう△8五歩」という発想から、相手に歩を突かせてから向かい飛車に振る新機軸を開発。途中図の△8五歩に代えて△1四歩なら、▲6八銀△6二銀▲6七銀△8五歩▲7八金で雁木に組む予定だったが、本局は△8五歩が来た。
西田六段は「最近の私は雁木の勝率が高かったですし、直近の佐藤天彦九段との王座戦では四間飛車を指して完敗していたこともあり、岡部六段は私に飛車を振らせてくるだろうと予想していました」と振り返る。
深い研究が見えた▲7八銀
駒組みが進む中、何げない▲7八銀(指了図)に西田六段の深い研究がうかがえた。この手は後手の駒組みを牽制しており、図から△3三角▲9六歩△2二玉で持久戦を目指せば、▲8六歩の仕掛けがあるという。7八の銀が8九の桂にヒモをつけるなど、低い陣形での動きに役立っている。
向かい飛車はほかの振り飛車に比べて未開拓の部分が多く、西田六段は「向かい飛車は8筋を8八飛と7七角で守ることで守備力が高く、急戦に対して安定感のある形です。こちらから▲8六歩と戦いを起こす展開もあり、相手が飛車先に費やした2手を逆用できます」と利点を語る。
天守閣美濃に組むも及ばず
後手の岡部六段は△2四歩から天守閣美濃に組み、△4二角の局面で昼食休憩に。西田六段の▲2七銀引は珍しい囲いで、「指してみたかった形です」と振り返った。
両者は前期の順位戦でそろってB級2組に昇級しており、もっと上位のクラスの決勝戦でもおかしくない好カードだった。



