ヒグマが下山中の登山者を追跡した事案を受け、閉鎖されていた北海道・知床の羅臼岳登山口について、2026年7月16日午前0時をもって閉鎖が解除されることが決まった。知床ヒグマ対策連絡会議が14日に発表した。同会議は「解除は安全を意味するわけではなく、常にヒグマとの遭遇リスクがある」と強調し、「リスクを受容できない場合は計画を中止・変更してほしい」と呼びかけている。
事案の概要と経緯
危険な遭遇事案は7月9日、羅臼岳の岩尾別コース・オホーツク展望(標高約450メートル)付近で発生した。単独で下山中の男性がヒグマに追いかけられ、クマ撃退スプレーを噴射したが、数分間にわたり膠着状態が続いたという。同会議は事案を受け、10日と14日に専門スタッフによる現地調査を実施。登山道に問題となるヒグマや新たな痕跡は確認されず、管理計画に定められたフローに基づき協議し、解除を決定した。
昨年の死亡事故と規制の経過
羅臼岳では2025年8月、下山途中の登山者がヒグマに襲われ死亡する事故が発生。この影響で登山道の入山規制が続き、2026年7月5日にようやく閉鎖が解除されたばかりだった。しかし、わずか4日後の9日に再び危険事案が発生し、再閉鎖されていた。今回の解除で、登山者は再び羅臼岳に登れるようになるが、同会議は「安全が確保されたわけではない」と繰り返し注意を促している。
ヒグマ対策のポイント
同会議の資料によると、ヒグマ遭遇時のリスクを減らすための対策として、以下の点が挙げられている。第一に、ヒグマに遭遇した際は背を向けて逃げると追いかけられる可能性が高いため、ゆっくりと後退して距離を取ること。第二に、下山時は移動速度が速くなりがちで、不意の遭遇や追跡を回避するため、意識的に速度を落とすこと。第三に、危険な遭遇事案の大半は単独登山で発生しているため、複数人での行動が推奨される。第四に、直近で危険事案が発生した登山道では、クマ撃退スプレーを必ず携行することが求められる。
最新のヒグマ情報は「知床のひぐま」や「知床情報玉手箱」で確認できる。同会議は「リスクを受容できない場合は、計画を中止・変更してほしい」と改めて強調している。



