2020年7月の九州豪雨で氾濫し、大分県日田市の天ヶ瀬温泉街に甚大な被害をもたらした玖珠川の改修事業について、県は31年度までの10年間としていた工期を2年延長することを決めた。改修に伴って使えなくなる泉源の代替掘削に時間を要する見通しとなったためだという。約70億円を見込んでいた事業費も工期の延長に加え、建設資材の高騰が続いていることなどから約81億円に上振れした。
改修事業の概要と背景
九州豪雨では天ヶ瀬温泉街の中央を流れる玖珠川の氾濫により、両岸に立ち並ぶ旅館や飲食店、民家など100戸以上が浸水被害に遭った。女性1人が濁流にのまれ犠牲になった。
河川改修事業は温泉街の2.15キロが対象で、県が22年度に着手した。流量を増やすために川幅を広げたり、川底を掘り下げたりして氾濫を防ぐ。
泉源の代替掘削と事業費の増加
県日田土木事務所によると、使えなくなる泉源は10か所。当初は金銭による補償を想定していたが、代わりになる泉源の確保を望む所有者にも対応することにした。交渉や実際の掘削作業などに2年程度はかかるとみている。
一方、事業エリア内の測量や地質調査などは当初の計画通りに進んでいるといい、立ち退きの対象になった旅館や民家など28軒の補償交渉は完了。取り壊しも進み、JR天ヶ瀬駅前では「跡地」が目に付くようになった。
復興に向けた取り組みと地元の声
日田市は23年3月、「歩いて楽しい川辺空間」や「美しい夜間景観」の創出などを盛り込んだ「天ヶ瀬温泉街復興まちづくり計画」を策定。近くの観光名所・桜滝や、九州豪雨で流失後、24年夏に架け替えを終えた新天瀬橋のライトアップに取り組むなどしている。
温泉街にある「旅館ひたや」館主で、地元のまちづくり団体「天ヶ瀬温泉つなぐ会議」会長の佐藤龍さん(37)は客足が鈍る夏場の対策として、同計画に盛り込まれた親水エリアの整備に期待を寄せる。工期の延長は「仕方のないこと」と冷静に受け止めながらも、「弊害は出てくる。(延長分の)2年を何とかつないでいくための仕掛けを考える必要がある」と話した。



