柏崎刈羽原発、世界最高水準の安全対策を徹底解説 再稼働後の現場
柏崎刈羽原発、世界最高水準の安全対策を徹底解説

新潟県柏崎市と刈羽村にまたがる東京電力柏崎刈羽原発は、6号機が今年4月に14年ぶりに営業運転を再開し、24時間体制で首都圏に電力を送り続けている。東日本大震災による福島第一原発事故を教訓に、安全対策は長い年月をかけて強化された。世界最高レベルの安全対策を備えた柏崎刈羽原発を、真夏日を記録した7月14日に訪ねた。

タービン建屋で電気を生み出す現場

6号機の原子炉建屋に隣接するタービン建屋では、巨大な高圧タービン1基、低圧タービン3基、発電機が縦一直線に並び、電気をつくっていた。ゴーッという重低音が響き、床が振動する中、柏崎刈羽原発副所長の大東正樹さん(59)は「1400メガワットを発電しています」と大きな声で説明した。発電量は一般家庭50万世帯分ほどの電力に相当する。

発電機の先端部分にある小窓から内部をのぞくと、巨大なシャフトが毎分1500回転で高速回転していた。原子炉でつくられた高温高圧の蒸気がタービンを回し、運動エネルギーが電気に変換される仕組みだ。タービンと発電機は1本の金属シャフトでつながれ、効率的にエネルギーを伝えている。

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津波対策:海抜15メートルの防潮堤

マイクロバスで海抜約60メートルの高台から敷地内に入ると、1~7号機が俯瞰できる。海に向かって左側に1~4号機、右側に5~7号機が並ぶ。すべて沸騰水型原子炉で、改良型の6号機は右側の真ん中だ。

福島第一の事故を教訓に強化された安全対策は、主に「津波・地震から守る」「電源を絶やさない」「原子炉を冷やし続ける」「放射性物質の放出を抑制する」の4分野に分けられる。

「盛土タイプの防潮堤をつくり、海抜15メートルあります」。大東さんは、想定される津波の高さ7~8メートルに対し、海抜15メートルの防潮堤を建設したと説明した。5~7号機側はもともと海抜12メートルの場所にあり、3メートルのセメント改良土を盛り土した。1~4号機側は、もともとの海抜5メートルの地盤の上に、高さ10メートルのコンクリート壁が1キロにわたって完成している。

津波対策ではほかに、非常用電源などが設置されている区域に、水の浸入を防ぐ分厚い水密扉を新たに設置した。

電源喪失時も原子炉を冷やす装置

何重ものセキュリティーを通過して6号機の原子炉建屋に入ると、迷路のような建屋内に特殊な装置があった。「原子炉から導いた蒸気を使って小さなタービンを回し、原子炉格納容器の下部にたまっている水を引っ張ってきて原子炉に注水する装置です」と大東さんは説明する。これは高圧代替注水系装置で、電源を必要とせず、電源をすべて失った時でも原子炉を冷やし続けることができる。福島第一の事故前からある非常用炉心冷却装置に加えて新設された。

また、格納容器内の圧力を下げるフィルターベントも新設され、ガスに含まれるセシウムなどの放射性物質の99.9%以上を除去できる。

水素爆発対策と使用済み燃料プールの安全策

建屋の最上階は減圧された空間になっており、事故時に放射性物質が外に漏れないよう外気が中へ入ってくる設計だ。壁には56個の箱が設置され、パラジウムが充填されたカートリッジが水素と酸素を結びつけて水蒸気にする反応を促進し、水素濃度の上昇を抑える。

福島第一の事故では、2号機でブローアウトパネルが開いたことで放射性物質が大量に放出された。新たな対策では、開口部の外側に鋼鉄製の扉を設置し、新幹線の扉のようにスライドさせて密閉できるようにした。放射性物質の拡散を防ぐだけでなく、屋外での緊急活動も容易になるという。

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使用済み核燃料プールには、消防車を建屋に接続して注水できる配管を新設し、スプレーノズルも設けた。敷地内の貯水池では、消防車が放水点検を行っていた。

緊急時対応車両と約6800人の団結力

高台には、様々な特殊車両が駐車された敷地があり、空冷式ガスタービン発電機車は電源喪失時の非常用バックアップ電源として、軽油でガスタービンを回し大規模な電力を生み出す。発電機車と制御車の2台1組で活動する。

大東さんによると、発電所内で管理する緊急時用の車両は約100台。約1200人の東電社員のうち約200人が大型免許を取得し、牽引免許と大型特殊免許もそれぞれ約100人が取得している。日頃から訓練を行い、緊急時に対応できる体制を整えている。

最後に大きな力を発揮するのは、協力企業も含めて約6800人の団結力かもしれない。発電所ではあいさつ運動に力を入れており、稲垣武之所長が率先して出勤者に声をかけ、改善に貢献した人には「サンクスカード」を渡している。すでに9000枚以上を発行し、幹部と現場作業員の信頼関係の醸成に役立っている。

大東さんは新人時代に柏崎刈羽原発の運転員を務め、2007年の中越沖地震、2011年の東日本大震災、今回の再稼働と、重大な出来事をすべて現場で経験したベテランだ。現在は7号機の再稼働に向けた準備を進めている。

14年ぶりの再稼働を果たした柏崎刈羽原発に事故は許されない。福島第一の事故を経験したからこその多様な安全装備と、人の力も信じる泥臭くも強固な安全思想が貫かれていることを感じた。