兵庫県、財政指標を不適切に算定 阪神大震災の復興費用が影響
兵庫県、財政指標を不適切算定 震災復興費が影響

兵庫県の財政指標が悪化し、「早期健全化団体」に転落する可能性がある問題で、県が2017年度から不適切な算定方法で指標を良く見せかけていたことが明らかになった。背景には阪神大震災による財政悪化があるとみられる。斎藤元彦知事は再発防止策を検討する考えを示した。

不適切な算定の実態

県は2000年度、490億円分の「公共用地先行取得等事業債」(用先債)を発行し、山林など複数の土地を買い取った。用先債を使って取得した土地を売った場合、10年ごとの満期時に、土地の売却収入を用先債の返済に充てる必要がある。ところが県は、用先債で取得した土地の売却を始めた2017年度以降、売却収入を将来の借金(県債)の返済に備える「県債管理基金」に積み立て、財政指標の一つ「実質公債費比率」を算定していた。

県財政課は「不適切だった」としている。実質公債費比率は収入に対する借金の割合を示す指標で、この基金の積み立て額が多ければ改善する。ある県幹部は読売新聞の取材に「指標を良く見せるためだった」と明かした。

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借り換えによる先送り

さらに、用先債の満期が訪れた2020年度、土地の売却収入が338億円になっていたにもかかわらず県は返済せず、用先債を借り換えて返済を10年後に先送りした。その後も売却収入の基金への積み立てを続け、実質公債費比率を算定した。

県が総務省に確認したところ、2020年度に338億円を返済せず用先債を借り換えたことについて、「地方財政法違反の可能性がある」との指摘を受けた。県財政課は「(担当者に)違法性の認識がなかった」としている。

早期健全化団体転落の可能性

県は今月13日、用先債の不適切な算定を修正した上で、今後も現在の高い金利水準が続くと想定して算定し直した結果、実質公債費比率の3年間の平均が2030年度に25%へ達し、財政破綻の恐れがある「早期健全化団体」に転落する可能性があると公表した。

県によると、実質公債費比率が悪化した要因は金利上昇によるものだが、不適切な算定の修正でも最大0.8ポイント悪化したという。

阪神大震災の影響

財政指標を良く見せかける算定手法が導入されたのは、阪神大震災からの復旧・復興による財政悪化が影響していると考えられる。県はこれまで、震災の復旧・復興事業費として総額2兆3000億円を投じ、うち1兆3000億円を県債で負担してきた。2024年度決算でも震災関連の県債は1478億円残っており、財政を圧迫している。

県は過去に用先債のほかにも、不適切な算定を行っていた。国が実質公債費比率を導入した2006年度以降、社会福祉協議会の運営や県有施設の整備といった事業に積み立てる「特定目的基金」を、県債管理基金に合算して実質公債費比率を計算していたという。2021年8月に知事に就任した斎藤氏は翌2022年度、この合算を廃止していた。

総務省によると、こうした算定手法は違法とは言えないという。当時を知る別の県幹部は「小手先のテクニックで、震災の財政問題を先送りしてきた」と話す。

今後の対応

斎藤氏は15日の記者会見で「再発防止のため、なぜこのような事案が発生したのか検証していく」と述べた。

立命館大・森裕之教授(地方財政学)の話「小手先の操作で数字上の見栄えを良くしても、借金自体は変わらない。現実を直視しにくくなり、打つべき対策が遅れたのではないか。県は今回の危機を、財政運営を見直す機会にすべきだ」

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