鹿嶋市荒野海岸のヘッドランド(県提供)砂浜の浸食を防ぐために設置されたT字形の人工岬「ヘッドランド」での水難事故が後を絶たない。周辺では沖へ向かう強い流れ「離岸流」が発生する危険な場所で、近年は死者も出ている。海水浴シーズンを迎え、県警や県は啓発チラシの配布やパトロールを強化し、注意を呼びかけている。
立ち入り禁止区域で遊泳
3連休中日となった19日、鹿嶋市のヘッドランド周辺には多くの家族連れやサーファーの姿があった。浅瀬で子どもを遊ばせていた母親は「ヘッドランドが危険だという看板は見たが、浅瀬で遊ぶだけなら大丈夫だと思った」と話した。
県内では現在、大洗町から神栖市までの鹿島灘沿岸に34基のヘッドランドが設置されている。穏やかに見える時もあるが、秒速約2メートルに達する離岸流が発生することもあり、立ち入りは禁止されている。強い離岸流では水泳五輪選手でも逆らって泳ぐことは困難とされる。
過去10年で45件の水難事故
県警によると、過去10年間の夏季(6~8月)に海で発生した水難事故128件のうち、45件がヘッドランド周辺に集中していた。水難者は64人で、行方不明・死者数は23人にのぼる。このうち10人はベトナム人や中国人などの外国人で、危険性が浸透していないことも課題だ。
ヘッドランド付近の離岸流は複雑で、常に変化する危険性がある。2024年8月には、鉾田市のヘッドランド付近の海岸で、潮干狩りをしていた男性が波に流されて死亡する事故が起きた。熟練サーファーの中には、ヘッドランドの離岸流を利用して沖へ出る人もいるという。大洗町でサーフショップを営む男性は「自然は常に変化している。今まで問題がなかった場所でも、状況は一変する。ここなら大丈夫という過信は危険」と警鐘を鳴らす。
離岸流に巻き込まれたら
離岸流に巻き込まれた場合は岸へ向かわず、海岸線と平行に泳いで流れから抜けるのが基本とされる。泳ぎが苦手な場合は浮いて体力を温存し、救助を待つことが重要だ。大洗サーフライフセービングクラブ代表の足立正俊さんは「ヘッドランド付近は危険。ライフセーバーがいる海水浴場で泳いでほしい」と呼びかける。
県警は船やヘリコプターで警戒を強化するほか、県などと協力してチラシを配り、危険性を周知するという。ベトナム語や中国語、英語など10か国語に対応したポスターも掲示するなどして注意を呼びかける。
県警地域課の染谷隆仁総括理事官は「ヘッドランド周辺には絶対に近づかないでほしい。流された人を見つけても、無理に助けに行かず、県警や海上保安庁にすぐに通報してほしい」と訴える。



