ロシアのプーチン大統領が13日、北方領土・択捉島を訪問したことを受け、終戦後に故郷を追われ、いまだ帰還がかなわない元島民らからは怒りや不安の声が上がった。
元島民ら「無念」「怒り心頭」
北方領土の返還運動に取り組む元島民らでつくる「千島歯舞諸島居住者連盟」(千島連盟)の松本侑三理事長(85)(札幌市)は「無念。故郷に土足で踏み込まれた気分だ」と憤る。
松本理事長は、択捉島留別村出身。プーチン氏の訪問を報じるニュースには、水産加工場でイクラを試食する様子などが映っており、「映像で目の当たりにすると耐えられない。日本政府には強い形で抗議してほしい」と訴えた。
墓参中断、洋上慰霊で思いは募る
2019年までは元島民が故郷に渡り、先祖を慰霊する「北方墓参」が可能だった。しかし、2020年以降はコロナ禍とロシアによるウクライナ侵略により中断されている。代わりに2022年からは北海道が船上からの「洋上慰霊」を実施し、今年も7月から9月にかけて予定されている。
択捉島蘂取村出身の山本忠平さん(91)(神戸市)も7月の洋上慰霊に参加したばかりだった。今回のプーチン氏の訪問に「島に渡りたいという思いはずっと変わらない。何かもめごとを起こし、日本に圧力をかけるきっかけを作ろうとしているのではないか」と懸念を示す。
元島民2世で、千島連盟道央支部長の倉賀野弘行さん(70)(札幌市)は「長引くウクライナ侵略の行き詰まりが影響しているのだろう。元島民らの心を逆なでする一方的な行為で、怒り心頭の一言に尽きる」と話した。
知事・市長も強い憤り
鈴木直道知事は「元島民はもとより、道民、国民の感情を深く傷つけるもので、ロシアとの関係の回復が困難になることを強く懸念する。毅然とした態度で外交交渉に取り組むよう、強く国に求めていく」とのコメントを発表。
元島民が多く住む、根室市の石垣雅敏市長も「81年間、北方領土返還を訴えてきた『原点の地』の市民として、返還を願う思いを逆なでするもので、強い憤りを感じる」とコメントし、政府に北方墓参と平和条約交渉の再開に努めるよう求めた。



