千葉県内に13日から降り続いた記録的な大雨は、瞬く間に地上にあふれ、道路や駅に大きな被害をもたらした。冠水した路上では車に閉じ込められる人が相次ぎ、消防や住民らが救助にあたった。足止めされた帰宅困難者らは、県庁や空港ロビー、電車内などで一夜を過ごした。
柏市では水没車から2人救出、女性は心肺停止
柏市八幡町の住宅街では13日午後、冠水した道路で水没していた軽乗用車内から、男女2人が救出された。うち1人は心肺停止の状態で、病院に搬送された。
救出にあたった近くの住民男性(66)は同日午後5時半頃、大雨の状況を確認しようと自宅を出たところ、数十メートル先の冠水した道路に1台の軽乗用車が向かっていく様子が見えたという。「そっちに行ってはダメだ」。大声で必死に叫んだが、車は止まらない。くぼみにはまったのか徐々に沈み、屋根まで水につかってしまった。
男性は消防に通報したが、救助要請が相次いでいるため、時間がかかると告げられた。「待っていられない」と、男性は頭を超える高さまで達した水に入り、泳いで車の屋根にたどり着くと鉄パイプで後部の窓を割り、車内に腕を伸ばした。人の手に触れたのを確認し、手をつかんで高齢男性を車外に引っ張り出した。
高齢男性は男性の知人だった。「奥さんは家か?」と尋ねると、「まだ車の中だ」と答えたため、男性は周囲の人が渡してくれた金づちなどでさらに窓を割り、女性を引き上げた。だが、女性はすでに心肺停止になっていたという。
住民は「排水環境をよくしないと」と訴え
約40年前からこの地域に住んでいるという男性は、「この辺は谷のような地形になっていて、数年前の大雨でも車が水没したことがある。排水環境をよくしないと、今後の大雨の際も同じ事が起きてしまう。もうこんな事は起きてほしくない」と肩を落とした。
八千代市のパキスタン国籍の男性(56)は、自宅1階のバイクや冷蔵庫などが浸水被害を受けた。同日午後6時頃にはひざがつかるほどの深さだったが、2時間後には1.5メートルほどの高さまで一気に水かさが増したという。「ぐしゃぐしゃのガレージを見て怖くなった。時間をかけて整備してきたのに」と話した。
空港や駅では帰宅困難者が一夜を過ごす
成田空港では電車やバスを待つ人たちがベンチや床で一夜を過ごした。新婚旅行でイスタンブールなどへ行っていたという山口県宇部市の会社員男性(30)は「帰りのフライトと合わせて丸2日間横になれず、ご飯もちゃんと食べられていない」と疲れ切った様子で話した。14日早朝から一部の電車やバスが動き出すと、帰路につく人たちで長蛇の列ができていた。
大雨で帰宅できない人のために千葉県は13日夜、県庁を一時滞在施設として開放した。市原市の会社員女性(54)は、同日午後9時頃からパイプ椅子に座っていたといい、「背中が痛い。朝が来るのが待ち遠しかった」と振り返った。
JR千葉駅(千葉市中央区)では、帰宅困難者らが開放された電車内で夜を明かした。東京から帰宅途中だった一宮町の無職女性(87)は「昨日の夜から何も食べてない。駅員さんが配ってくれたペットボトルのお水がありがたかった」と話した。
約4000人が足止めされたJR蘇我駅では14日午前6時半過ぎから、帰宅困難者を近くの一時滞在施設へ届ける自衛隊のバス輸送が始まった。改札前では、警察や消防が「自衛隊の避難誘導を始めます。案内するので後に続いてください」などと呼びかけていた。



