千葉豪雨、水没車から救出も妻死亡…「行っちゃダメだ」間一髪逃げた男性も
千葉豪雨、水没車から救出も妻死亡…間一髪逃げた男性も

千葉県を襲った記録的な大雨から一夜明けた14日、県内では深刻な被害が浮き彫りになった。急激に増した水位に車を止められ、間一髪で逃げ出した人もいた一方、救出活動もむなしく命を落としたケースも。避難所で不安な夜を過ごした帰宅困難者らは、「命の危険を感じた」と恐怖を口にした。

柏市では水没車から夫を救出も、妻は死亡

柏市八幡町では13日午後、高齢夫婦の乗った車が冠水した道路で動けなくなり、車内に閉じ込められた。「そっちに行っちゃダメだ!」。近くに住む自営業の男性(66)は、大雨の状況を確認しようと自宅を出たとき、坂道を下っていく夫婦の車を目撃した。大声で止めようとしたが届かない。車は途中で水につかまり、あっという間に屋根のあたりまで沈んでしまった。

男性は119番通報したが到着には時間がかかると告げられ、足がつかない深さを泳いで自ら救助に向かった。駆け付けたほかの男性とともに車に近づき、鉄パイプで窓ガラスを破壊。夫を引き上げた。泥水を飲んでいてしばらく意思疎通が図れない状況だったが、10分ほど後の問いかけで夫は「車の中にまだ妻がいる」と説明。すぐに戻って引き上げたが意識はなかった。妻は搬送先の病院で死亡が確認された。

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現場は谷のような地形、過去にも冠水

現場は谷のような地形で、過去にたびたび冠水し、車が動けなくなっていたという。男性は「(夫の)返答を待たずに、すぐに探せばよかった」と肩を落としつつ、「市側には排水環境を整備するように要望してきた。もうこんなことは二度と起きてほしくない」と訴えた。

県庁前では5分で腰の高さまで浸水

「5分ほどで水が腰の高さまで上がってきた」県庁(千葉市中央区)付近の片側2車線道路で車が浸水した市原市の無職、山崎達志さん(69)は当時の状況をそう説明する。13日午後9時ごろ、子供から「帰れないので迎えに来てほしい」と連絡を受け、車で千葉駅に向かった。道中は冠水していた場所も多かったが、水位は10センチ程度で、なんとか進めていた。

だが、駅近くの県庁前で状況が一変。「前の車が進むのを待っていたら水が一気に増え、車内にも水が流れ込んできた」。急いで車から出たが、すでに水は腰の高さにまで達していた。周囲の10台以上の車両も動けなくなっていた。千葉市中央区の13日夜の1時間降水量は115ミリで平年の8月1カ月分とほぼ同じ値。県庁の近くには2本の川が流れており、氾濫して道路の水位が急上昇した可能性がある。

子供とともに県庁に身を寄せた山崎さんは、「判断が遅ければ、命を失っていたかもしれない」と語った。同じく県庁に避難した千葉市のパート、杉永亜矢子さん(64)は、13日午後7時半ごろに到着。ペットボトルの飲料水や毛布、乾パンが支給され、雑魚寝で一夜を過ごした。「職員の方々には感謝しかないが、よく眠れなかった」と疲れきった様子だった。

JR外房線の運転見合わせを受け、京成電鉄千葉中央駅近くの映画館で朝まで過ごしたという茂原市の会社員、末吉由和さん(35)は、「ここまで激しい雨にはでくわしたことがない」と力なく話した。

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