未知の世界だった中国の鉄道、1980年代の記憶 旧満州の超特急やシルクロードの列車
未知の世界だった中国の鉄道、1980年代の記憶

1980年代初頭、中国を初めて訪れた鉄道写真家の南正時氏は、不思議な懐かしさを感じたという。当時すでに日本では見られなくなっていた昔ながらの「汽車の旅」や街、人々の姿がそこにあった。日本では姿を消していた蒸気機関車も、中国ではまだ現役で活躍していた。情報では知っていても、実際に目の当たりにすると、大陸を走る大型蒸気機関車の迫力は圧倒されるものがあった。

「前進型」と「建設型」の力走

代表的な形式は「前進型」で、全長約26~29メートル、全高約4.8メートルという巨大な機関車だった。貨物用として造られたが、旅客列車も牽引していた。北京近郊の万里の長城で知られる八達嶺付近の急勾配を、煙を噴き上げながらやってくるさまは、いかにも大陸の鉄道らしい迫力だった。一回り小さい「建設型」も活躍していた。

写真での「日中友好」

この旅は中国側の協力によるツアーで、一般的な観光も盛り込まれていたが、参加者は筆者を含め中国の鉄道見たさにやってきた人ばかりだった。万里の長城観光もそこそこに列車にカメラを向ける日本人集団は異様に映ったであろうが、写真を撮っているとわかると、列車の機関士は和らいだ表情を見せ、車窓からは乗客らが手を振ってくれた。

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当時の中国の人々は写真好きで、カメラを構えていると多くの人が集まってきた。筆者が持参したポラロイドカメラで撮影して出力した写真を渡すと、驚きとともに喜んでくれ、言葉が通じなくても、よい「日中友好」のツールとなった。機関士や鉄道員もいい笑顔を見せてくれる人が多かった。

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