暗渠への愛一冊に 都内の2人が全国164か所歩き調査
暗渠への愛一冊に 都内の2人が全国164か所歩き調査

東京・杉並区の会社員2人が、全国の暗渠(あんきょ)を実際に歩いて調べた「47都道府県・暗渠百科」(丸善出版)を出版した。都市化や水害対策のために地中に埋設された河川や排水路である暗渠について、164か所の特徴を紹介している。

暗渠に魅せられた2人

出版したのは、いずれも杉並区の会社員、吉村生さん(48)と高山英男さん(62)。2人は「暗渠マニアックス」の名で活動し、各地の暗渠情報をインターネット上で発信してきた。

暗渠は高度経済成長期に雨水の排水や区画整理のために全国で整備された。地表からは見えず、都市部では上に道路や公園が造られていることが多い。

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吉村さんが暗渠に興味を持ったのは17年前。近所の商店街が途切れていることを不思議に思い、説明板を確認すると、その場所に川があり暗渠になっていたことを知った。「街の謎が解ける感覚にとりつかれた」という。

高山さんも同じ頃、書店で暗渠に関する本を手にした。「コンクリートで蓋をされていても、地下には川が力強く流れている。その姿に勇気をもらった気がして調べるようになった」と振り返る。

全国を行脚して完成

2人は当初それぞれのブログで活動していたが、情報交換するうちに2009年から一緒に探索を始めた。15年以降、都内の暗渠を紹介する本など6冊を共著してきた。

新たに辞書のように使える全国版を作ろうと、1年8か月かけて全国各地を行脚。地元の図書館で古い新聞記事や歴史資料を調べ、住民や周辺の店に話を聞いて完成させた。

「暗渠を調べると、街の成り立ちや治水の歴史が見えてくる。足元にこんな面白いものがあることを知ってほしい」と吉村さんは話す。

暗渠サインの見つけ方

書籍では、2人が「暗渠サイン」と呼ぶ手がかりも紹介。橋跡や水門の下にはほぼ確実に暗渠があり、民家が背を向けて並ぶ道路や、大量に排水する銭湯や豆腐店などの近くにも存在する可能性が高いという。

地図から読み解く方法もあり、格子状に整然と並ぶ道の中で秩序を乱すように曲がった道があれば調べる価値があるという。

高山さんは「土地の高低差や水音など、現地を歩かなければ分からないサインもたくさんある」と話す。

都内の代表例として、渋谷駅近くを流れる渋谷川と、葛飾区の上下之割用水西井堀の暗渠も取り上げている。渋谷川には都心部では珍しく橋跡が多く残り、西井堀には橋の名前が彫られたプレートが歩道に埋め込まれているという。

2人は自治体などからの依頼で年に20回ほど講演や案内ガイドをこなす。今後は未踏の場所を探し、思いの丈を記したエッセーを出版するのが次の目標だ。書籍は四六判、288ページで税込み4840円。

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