佐賀県有田町で交通安全指導員を務める岩永信隆さん(82)は、55年余りにわたり交差点に立ち続けている。かつて弟を交通事故で亡くしたことをきっかけに、見守り活動を始めた。秋の全国交通安全運動(21~30日)を前に、事故防止にかける思いを聞いた。(帆足英夫)
毎朝約40分間、交差点で児童生徒を指導
岩永さんは「学校がある日の午前7時から約40分間、自宅から約100メートルの北ノ川内交差点に立ち、児童生徒の交通安全指導をしている」と話す。気をつけているのは「とにかく事故が起きないようにすること」だ。交差点は国道202号と県道が交差する場所で、交通量が多い。青信号が点滅している状態で横断歩道を渡ろうとする子どもを止めたり、子どもが横断中に右左折をしようとする車に注意を求めたりしているという。
子どもたちとの触れ合いが励みに
やりがいについて岩永さんは「子どもたちとの触れ合いで元気をもらえること」と語る。『おはようございます』とあいさつしてくれるほか、毎朝ハイタッチをしてくれる子もいる。学校経由で『暑い日も寒い日もありがとうございます』という児童の手紙をもらうこともあり、励みになっているという。
弟の死が活動の原点に
活動のきっかけは、岩永さんが20歳のとき、小学4年だった弟が放課後に自宅そばの道路を歩いていて、居眠り運転のトラックにはねられて亡くなったことだ。「ショックだった」と振り返る。事故後、父が交通安全指導員への就任を打診されたが、父と相談して岩永さんが引き受けた。「弟のような悲劇を繰り返さないように、交通事故から地域の子どもたちを守りたいと思った」と話す。事故の6年後の1970年から交差点に立つようになった。



