プロゴルファーを目指す「研修生」として福島県のゴルフ場で働いていた19歳の男性が、自ら命を絶った。地元の労働基準監督署は、上司・先輩からのパワハラが原因による自殺だったとして、労災と認定した。遺族側への取材でわかった。
遺族は近く、ゴルフ場の運営会社と当時の支配人らに対して損害賠償を求めて、福島地裁に裁判を起こす。
男性の経歴と勤務状況
遺族側によると、男性は小学生からゴルフを本格的に始め、国体に福島県代表として出場した。高校卒業後の2021年、プロテスト合格を目指して、ゴルフクラブ・棚倉田舎倶楽部(棚倉町)を運営する「棚倉開発」に入社した。
敷地内の寮に住み、日中はボール拾いやキャディーなどゴルフ場の仕事をし、業務終了後はプロテストに向けて練習していた。ところが入社から約1年後の22年6月、自殺した。
労基署の認定内容
遺族は、仕事の心理的な負荷が原因による自殺だったと訴え、23年10月に労災申請した。男性から生前、支配人や研修生の先輩らから威圧的な叱責を受けている、と聞いていたためだ。
白河労働基準監督署(白河市)が調べ、当時の支配人らによる1時間以上の叱責は21年9月ごろから週1~2回あり、亡くなる直前の22年4~6月には週2~3回に増えていたと認定した。「バカ」「家に帰れ、会社にこなくていい」などと言われ、無視されていたとも指摘した。
労基署は、こうした叱責などは業務指導の域を超えたパワハラで、「ともすれば人格否定にあたる言動だ」と判断した。プロテストに向けた練習をしながら働くという重圧のかかる環境だったうえ、寮生活の中で支配人らに抵抗することが難しかった点なども踏まえて、25年3月に労災認定した。
会社の対応と今後の見通し
棚倉田舎倶楽部の現在の支配人は朝日新聞の取材に対し、「コメントできない」とした。
棚倉開発は、プロゴルファーの石川遼選手の父親が社長を務めていることで知られる。



