シリアの裁判所は11日、計画的殺人や拷問、恣意的拘束、人道に対する罪などで、アサド前大統領に欠席裁判で死刑判決を下した。シリア国営通信(SANA)が報じた。アサド氏はロシアに亡命しており、刑の執行は困難だ。
内戦の背景と人権侵害
2011年に中東の民主化運動「アラブの春」が波及したシリアでは、当時のアサド政権が反政権デモの参加者を激しく弾圧。反体制派や「イスラム国」(IS)などの過激派勢力を交えた泥沼の内戦に陥った。
アサド政権は反体制派やその家族、人権活動家など様々な市民を「テロリスト」として秘密収容所に拘束。在英NGO「シリア人権監視団」(SOHR)によると、約7万8千人が拷問の末に死亡したという。
判決の内容と政権崩壊
国営通信によると、裁判所はアサド氏が「国家の最高意思決定者としての地位にあり、違反行為に関与した国家機関を指揮した」と認定。アサド氏の弟でロシアに亡命したとされるマヘル氏など当時の複数の政権高官らにも、計画的殺人や拷問などの罪で死刑判決を下した。
過激派組織の指導者だったシャラア氏が率いる反体制派は24年12月、アサド政権を武力で転覆し、暫定政権を樹立。アサド氏は自らの政権の後ろ盾だったロシアへ亡命した。暫定政権はアサド氏の身柄の引き渡しを求めてきたが、ロシア側は応じていない。



