盗品捜査のエキスパート波多江弘武警部補、3300点超の被害品発見 独自ノートで窃盗犯特定
盗品捜査のエキスパート波多江弘武警部補、3300点超発見

3300点超の被害品を発見した波多江弘武警部補

福岡県警捜査3課に所属する波多江弘武警部補(64)は、盗品捜査のエキスパートとして全国的に知られている。これまでに発見した被害品は3300点を超え、その功績は多くの盗犯刑事の模範となってきた。来年3月の勇退を前に、波多江警部補が自身の歩みや後輩への思いを語った。

独自に編み出した「波多江ノート」の手法

波多江警部補は、毎朝県内で発生した窃盗事件の概要や被害品の特徴をノートに記録。その後、各地の質店や古物商を巡回し、被害品が売られていないか、売られていれば誰が持ち込んだかを調べる。このノートは若い頃に独自に編み出したもので、通称「波多江ノート」と呼ばれている。売りに来た人物は事件に関与している可能性が高く、発見後は担当署や捜査班に詳細を引き継ぎ、容疑者特定に活用される。

また、店側からの連絡も重要な端緒となる。怪しい人物や不審な品物に関する電話が事件解決につながったケースも多い。波多江警部補は「店との付き合いは被害品を見つけて終わりではない。日頃から足を運び、お礼を伝えることで信頼関係を築くことが大事だ」と語る。この人脈のおかげで、今でも多くの店から「波多江刑事、怪しい商品が来ましたよ」と連絡が入る。窃盗事件が多かった20~30年前は、毎年150点以上の被害品を発見していたという。

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被害者の喜びがやりがい

波多江警部補は、被害者が喜ぶ表情を見た時にやりがいを感じるという。10年ほど前に見つけた指輪は、ガンで病床に伏した高齢女性のものだった。病院で点滴を受けていた女性に見せると、「ああ!私のです」と元気を取り戻した。別の高齢女性の指輪は亡き夫からの贈り物で、仏壇の夫に「波多江さんが持ってきてくれましたよ」と語りかけていた。こうした姿を見て「警察官になって良かった」と感じるという。

県内の窃盗事件の現状

福岡県内では毎年約2万件の窃盗事件が発生し、刑法犯認知件数の約7割を占める。最近では、空き家を狙った侵入盗が目立っており、波多江警部補は「貴重品を置いたままにしないよう注意してほしい」と呼びかけている。

後輩へのメッセージ

2011年に県警の技能指導官に任命された波多江警部補は、後進の育成にも尽力してきた。後輩たちに「被害者は『なんとか盗まれた物を取り戻してほしい』と切なる思いで届け出てくる。亡き両親の遺品や演奏家の楽器など、思い出が詰まった品物も多い。一日でも早く被害品を持ち主の元に返すんだという気持ちを忘れずに捜査に当たってほしい」と語る。

波多江弘武警部補のプロフィール

福岡県糸島市出身。1980年に県警の巡査に任命され、1995年から捜査3課に所属。約2年分の被害品の特徴を記した「波多江ノート」を手に毎日県内の質店を回る。これまでに約450の表彰を受けた。2022年に再任用され、来年3月で県警を退職する。趣味は家庭菜園で、「愛情をかけた分だけ良いものができる」と語る。

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