全国高校総体の体操で、学校の垣根を越えたスポーツマンシップの光景が印象に残った。
予選での交流
予選では都道府県ごとに各種目をローテーションでこなす。全員が同じ高校の選手で構成する組もあれば、複数の学校の選手が一緒に回る組もある。
男子の群馬県は高崎工の選手の中に、吉井の1年生・桜井瑛樹が一人交じっていた。「やりにくいだろうな」と思って見始めたが、終わってから話を聞くと本人は「楽しく試合ができた」と振り返ってくれた。
自然と生まれた応援
高崎工の選手はチームメートにはもちろん、種目別などでライバルになる桜井に対しても「お前は(練習を)やってきたぞ」「思い切っていけ」と声援を送っていた。どの種目でも、桜井がきれいに着地を決めると、力強いガッツポーズ。桜井も高崎工の先輩に自らグータッチに行っていた。学校の垣根を越えて「ワンチーム」だった。
両校は同じ高崎市にあり、練習会などで顔を合わす度に、高崎工の選手たちは桜井に助言していたという。高崎工の相原聖主将(3年)が大切にしているのが「リスペクトし合う」精神だ。
体操が育む精神
体操は相手との駆け引きではなく、絶えず自身のベストを追い求める。だから敵対するのではなく、優れた演技には称賛を、失敗しても励ましの言葉を贈る。相原はチームメートに桜井を応援するよう呼びかけたわけではなく「自然とそうなっていた」。他の都道府県でも男女を問わず「リスペクト」の光景は何度も目にした。
相原は個人の種目別で複数のメダルを獲得したが、自身の表彰式よりも予選の最終種目のあん馬で桜井が着地を決めた瞬間の方がうれしそうだった。大切なことを高校生に教えてもらった。(細田一歩)



