福岡県古賀市が民間に運営委託していた温泉付きオフィス「快生館」(6月に閉館)をめぐり、市が違法な覚書によって委託費などを支出したとして、住民が市長に対して約950万円の支払いなどを求める住民訴訟を福岡地裁に起こした。原告側が発表した。
訴訟の経緯と施設の概要
提訴は10月16日付。訴状などによると、快生館は民間の温泉旅館だったが、老朽化もあり、コロナ禍の2020年5月に休業した。
古賀市は施設を借り受けて福岡市の民間会社に委託。サテライトオフィスやシェアオフィスを備えた温泉施設としてリノベーションし、21年10月に営業を始めた。
目的は働き方の変容に対応し、移住・定住を促すことにより、持続可能な都市の形成を図ることとされていた。だが、施設は今年6月に閉館した。
原告側の主張と市の対応
原告側は、当初の業務委託契約では施設維持費以外の事業費は事業者の負担となっていたが、覚書では独自事業のコストを公費で補塡(ほてん)するしくみになっていたなどと主張する。
契約の範囲を超えて経済的利益をこの会社に付与するのは地方自治法に違反するとし、市長に対し、覚書に基づいて支出された公金約950万円について会社から返還を求めることなどを求めている。改修費や委託費などの総事業費は約4億2千万円だった。
住民監査請求の却下と今後の見通し
原告で古賀市民の会代表の渋田隆さん(58)が住民監査請求したが、市監査委員会が9月に却下したため、提訴した。渋田さんは「収支などの説明がなく、効果も不透明だ」と訴える。
古賀市は「訴状が届いていないのでコメントは差し控える」としている。