鉄道の整備保守の現場で活躍する外国人材が増えている。現在は250人を超え、3年で3倍以上になった。地方鉄道の維持に欠かせない存在になりつつあるが、来春には一部の外国人が転職しやすくなる就労制度が始まり、会社側は長く働いてもらう環境をどうつくるかが課題になっている。
鹿児島の終電後の現場でフィリピン出身者が活躍
鹿児島県日置市のJR鹿児島線。終電後の午前0時過ぎ、木々に囲まれた線路上で保線作業が行われていた。JR九州に委託された同県薩摩川内市の建設会社「九州軌道工業」の作業員9人は工事用ライトが照らす下で、「ぶつからないように気をつけて」と声をかけ合い、線路下に敷設された砕石を重機で取り除き、新しいものに交換していた。
9人のうち2人はフィリピン出身だ。荷台を使い砕石を運搬していたマーロン・ジャドラケさん(37)は約半年間、日本語や工具の使い方を学んだ後、2023年3月、専門技術の習得を目指す技能実習生として来日。パートナーや子ども、姉家族を養い、母国の3倍超の月収を得られる日本は魅力的だった。
会社存続の危機を救った外国人材
会社の寮で生活しながら日々現場に向かう。「疲れることも多いが仕事は楽しい。できるだけ長く日本で働きたい」と語った。
中村剛社長(46)によると、保線作業は夜中に行い、重い砕石や工具を運ぶ。「人が集まらず、社員も高齢化している。会社存続も危うい」と悩んでいた約10年前、技能実習生を募ると定員の数倍の応募があった。以降、貴重な戦力として採用を続けている。中村さんは「とても勤勉で、大切な仲間たちです」と話した。
業界全体で人材不足が続く見通し
厚生労働省によると、25年度の鉄道、関連事業の有効求人倍率は3.43倍と全職種平均(1.10倍)を大きく上回り、近年はこの傾向が続く。国土交通省は28年度に鉄道業界で2万人以上が不足し、今後も人材確保は厳しいと推測する。