万博工事の背任事件、徹底究明でレガシー守れ
万博工事の背任事件、徹底究明でレガシー守れ

大阪・関西万博のシンボルとなった大屋根リングの建設を担った建設会社社員の背任事件が発覚した。万博の価値そのものを毀損しかねない残念な不祥事である。

元現場責任者を背任容疑で逮捕

大阪府警は竹中工務店の万博会場建設で現場責任者だった河井辰巳容疑者を背任容疑で逮捕した。河井容疑者は約1370万円分を下請け業者に水増し請求させ、自社に損害を与えたとされる。水増し分は下請け業者を通じて私的な工事をさせていたといい、他にも同様の手口で6千万円以上の利益を得ていた疑いがある。

建設費の上振れと不正の全容解明へ

会場建設費の3分の2は国と大阪府・市が支出した。建設費を巡っては、当初の1250億円から大きく上振れし、2350億円になったことも批判されていた。その最中で水増し請求が起きていた可能性がある。大阪府警は徹底的な捜査を進めて不正の全容を解明し、公表してもらいたい。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

事件を受け、日本国際博覧会協会(万博協会)副会長の吉村洋文大阪府知事は「非常に残念」としながら「協会への損害は生じていない」とした。だが、重要なのは損害の有無ではなく不正の存在だ。協会は6月に今回の不正の報告を受けていた。調査を求めた協会に対し、竹中工務店側は「不正はなかった」と回答したという。協会は、他にも不正がないか精査する必要がある。竹中工務店も社内調査を実施すべきだ。

世界的イベントに潜む不正の連鎖

万博を巡っては、昨年10月、アンゴラ館の建設工事を無許可で請け負ったとして、別の建設会社代表らが建設業法違反の罪で略式起訴された。セルビア、マルタなどの海外パビリオンで建設費未払いが表面化した。東京五輪・パラリンピックでも贈収賄事件や入札談合事件が相次いだ。今回の万博を巡る事件は、巨額の資金が動く世界的イベントには不正がつきものなのだ、という印象を国民に植え付けかねない。

万博のレガシーを守るために

「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに開催された大阪万博は、昨年4月からの半年間の会期中、延べ2500万人以上が訪れ成功裏に終えた。新型コロナ禍後の万博は世界中の人々が直接交流する喜びとそこから生まれる創造性を示した。世界的イベントのレガシーを不正に奪われてはならない。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ