中国とネパールの国境地帯で起きた土石流では、洪水観測の水位計が押し流されるなど、従来の警報システムが機能しなかったことが、大きな被害につながった。
土石流の発生と被害の拡大
土石流は8月26日午前に発生。米地質調査所(USGS)は、ネパールの中国国境付近にあるランタン国立公園の氷河が崩落し、急速な斜面崩壊が発生したとの見解を示した。
米調査研究機関スティムソンセンターによると、氷河と岩石の塊が標高約5200メートルの山腹から落下し、土石流が中国側の国境検問所に到達した。中国中央テレビは8月30日、土石流が約22キロ・メートルの距離を秒速50メートルで進んだと報じた。土石流は、ネパールにつながるボテコシ川や、下流のトリシュリ川の流域など広範囲に及んだ。
警報システムの限界
ネパールでは流域に8か所で水位計が設置されていたが全て流され、データの計測は途絶えた。国境から1キロ・メートルの水位計からは午前8時40分に水位の上昇を知らせる通知が届いたが、その後の更新はなかった。
ネパール気象当局で洪水予報を担当するビクラム・シュリスタ氏は、本紙に「中国の関係部局からチャットで午前9時頃に洪水発生の情報を受け、9時5分には被災地域に携帯電話のメッセージで『大規模な洪水発生』との警報を出した」と説明する。ただ、その頃には土石流は村々に到達していたとみられ、実際にどの程度の住民がメッセージに気づいたかは不明だ。
今後の対策
シュリスタ氏は「数世紀に一度しか起こらないような極端な気象現象。監視カメラや地震センサーなどを組み合わせた高度な早期警報システムの導入を検討している」と述べた。



