ネパール土石流、校長の素早い判断で900人救う…避難完了直後に学校水没
ネパール土石流、校長の判断で900人救う 避難直後に学校水没

ネパールと中国の国境地帯で発生した大規模な土石流では、警報が不十分な中で、上流の住民からの口づての連絡が頼りだったことが浮かび上がる。生死を分けたのは一瞬の判断だった。

校長の迅速な判断で900人が避難

中国との国境から約50キロ下流のヌワコット郡トリシュリバザールにある小中学校のラジェンドラ・ダワディ校長(47)は「もし判断が数分遅れていたら、私は今ここにいない。生徒にも大きな犠牲が出ていただろう」と振り返る。被災当時、学校では900人の生徒が授業中で、他にもスクールバスで数百人の生徒が登校中だった。

8月26日午前9時10分頃、会計担当の職員が「洪水だ!」と駆け込んできた。上流の土石流の映像はまだ伝えられず、村で警報も鳴っていなかった。確たる情報がない中で、他の職員にも上流にいる知人から次々に電話連絡が入った。

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3階建ての学校は水没、破壊される

3階建ての学校は川から50メートルほど高い場所にあった。過去に洪水を経験しているダワディさんは、屋上では危険だと判断。すぐに非常ベルを鳴らし、全校生徒に高台に逃げるよう指示した。バスの運転手に電話し、高台に向かうよう指示した。15分ほどで生徒の避難が完了した直後、濁流は村に到達した。学校は水没し、破壊された。ダワディさんは「災害では一分一秒が生死を左右する。判断の重要性を痛感した」と語った。

口づての連絡で避難、数分の差で命拾い

今回の土石流では、多くの人が上流の知人から電話連絡を受けて初めて事態を知り、避難を開始していた。わずか数分の差で助かった人も多かった。ヌワコット郡ベトラワティのディネシュ・ダンゴルさん(31)も、川から200メートルほど離れた自宅で、友人から洪水の連絡を受けた。その友人は、上流にいる別の友人から連絡を受けていた。まだSNSには何の情報も流れていなかった。バイクで家を出て、途中から徒歩で高台に駆け上った。その数分後、村が濁流に押し流された。「あと数分遅かったら助からなかった」と振り返る。

自宅の屋上に避難して家ごと流された人も多い。ベトラワティで雑貨店を営んでいたギャン・クマール・ダンゴルさん(39)は、4階建ての店舗兼住宅の屋上に父母らと避難したが、濁流は建物を一瞬で押し流した。濁流の中を無我夢中で泳いで助かったが、父母と2人の子供は行方不明だ。「家族みんながいなくなってしまった」。ぼう然とした様子で語った。

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