熊本地震で工場の煙突が倒壊した事故を受け、国が初めて全国の煙突を調べたところ、約4割の180本が傷んだり、劣化したりしていたことが明らかになった。調査対象は高さ60メートル超の鉄筋コンクリート製煙突に限られており、かつて地震で倒壊したこともある60メートル以下の煙突の実態は、わからないままだ。国土交通省は所有者に自主的な対策を呼びかけている。
調査のきっかけは7月の熊本地震
初めてという煙突の全国調査を行ったきっかけは、7月の熊本地震だった。日本製紙八代工場(熊本県八代市)の煙突3本が損傷。9人の死亡につながった80メートルの煙突は旧耐震基準下に設置され、50年以上が過ぎていた。
自社による目視などで点検してきており、2016年の熊本地震後には補強工事もしたが、行政による安全確認は行われていなかったという。人の集まる施設と違い、煙突などの「工作物」は行政への報告義務の対象外のためだ。
対象は60メートル超に限定
「盲点」となっていた煙突の安全対策の状況を確認するため、国交省は全国調査に乗り出した。ただ、対象は60メートル超の鉄筋コンクリート製煙突に限定した。
国交省はその理由について、07年の法改正によって高さ60メートル超の工作物は国交相の認定が必要になったこと、今回の熊本地震で損傷した3本の煙突がいずれも60メートル超だったことを挙げる。
180本が損傷・劣化、うち60本は対策予定なし
調査の結果、高さ60メートル超の鉄筋コンクリート製煙突は全国に444本あり、うち損傷、劣化していたのは180本あった。このうち60本は所有者に対策の予定がないことが判明し、国は応急補修を要請する。
ただ、地方のゴミ処理施設などでは60メートル以下の煙突も少なくないとみられるが、調査対象外のため実態は不明のままだ。国交省は所有者に自主的な対策を呼びかけている。