奈良市が建設を計画する新ごみ処理施設(クリーンセンター)の建設候補地を選ぶ過程で、住民の意見が比較評価基準の項目に含まれる中、全住民からの合意を得るのは困難な状況が続いている。今年、事実上候補地から外れた七条町では、現在も住民間で意見の相違がみられる。
市議会の判断で七条町が調査対象から除外
奈良市議会3月定例会が開会した今年2月27日、2025年度一般会計補正予算案の減額修正案が可決され、新施設の建設計画策定委員会が市に答申した候補地3地区(北之庄町、大和田町、七条町)のうち、七条町の調査費用が削られた。仲川げん市長は議会終了後の取材に「残りの2か所から決めるというのが市議会の判断だ」と述べ、北之庄町か大和田町が最終候補地になる可能性を示唆した。
七条町ではこれまで、クリーンセンター建設を巡って周辺住民から強い反発があった。近隣の大和郡山市や生駒市とごみ処理の広域化を検討する過程で、市は19年に交通の利便性などの観点から七条町を候補地に絞り込んだ。その後、広域化の構想は破綻したが、七条町は市の「有力な候補地」として残ったままだった。
反対請願と陳情、住民間で意見割れる
市の姿勢を疑問視した七条東自治会や辰市地区自治連合会などは、建設に反対する請願を23~24年の間に計4件提出。昨年9月には、四つの自治会を中心とする住民団体「奈良・都跡地域クリーンセンター建設反対の会」が、候補地選定の過程などの再検証を求める請願を提出した。同会は「2か所目のごみ処理施設が建設されれば、市民の公平性がなくなる」などと主張し、世話人の岡田広さん(79)は「なぜこれだけ反対の声が上がっても市が七条町にこだわり続けるのかがわからない」と疑問を呈した。
これまでに計5件の請願を採択していた市議会が下した七条町の調査費減額の決断。しかし、議決から約1か月後の3月下旬、七条町水利土木組合が七条町の地質調査について再度審議するよう求める陳情を市議会に提出した。同組合は「クリーンセンターを七条町に設置するよう要望しているわけではない」としつつも、「住民全体が反対していると勘違いされている」と、七条町も含めた調査を経たうえでの選定を要望。ただ、陳情を受けて議会が動く見通しは立っていない。
残る2候補地でも意見は一枚岩でなく、市の取り組みが課題
北之庄町、大和田町の2候補地の周辺でも、激しく反対する住民もいれば、静観する人たちもおり、一枚岩とはいえない。地域に禍根が残らないよう、合意に向けた市の取り組みが求められる。



