職場や仕事をめぐる人間関係の中で、明確にハラスメントとは言い切れなくても、相手の言動に傷ついたり、理不尽さを感じたりした経験はないだろうか。周囲に相談しても「よくあること」「気にしすぎ」と片付けられ、言葉にできないモヤモヤを抱えたままにしている人もいるかもしれない。
厚労省が示す5類型と、その枠組みに収まらない実態
厚生労働省は、問題となるハラスメントとして、「パワーハラスメント」「セクシュアルハラスメント」「妊娠・出産、育児・介護休業等に関するハラスメント」「カスタマーハラスメント」「求職者等に対するセクシュアルハラスメント」を示している。しかし、日常で遭遇する不快な言動や理不尽な扱いのすべてが、こうした既存の名称や枠組みだけで整理できるとは限らない。
本連載では、マイナビニュース読者500人を対象に、「名もなきハラスメント」に関するアンケートを実施。寄せられた回答の中から、まだ広く名前を与えられていない“名もなきハラスメント”の体験談を漫画で紹介する。
具体例:生理痛を軽視する言動や上司の趣味の押し付け
女性社員がドン引きする、男性管理職が気をつけたい言動として、男性が生理について偉そうに語るケースが挙げられる。生理痛の重さや症状は人によって異なり、外からは見えにくい。「病気じゃない」「毎月休まれたら困る」といった言葉は、本人のつらさを軽く扱い、生理休暇を申請しづらくさせてしまう。
必要なのは、男性が生理について語ることではなく、経験していない苦痛を「たいしたことない」と決めつけず、安心して制度を活用できるように寄り添う姿勢だ。また、上司の趣味を部下に押し付けるような言動や、深夜2時の業務外指示なども、名もなきハラスメントの例として紹介されている。
自分を守るための第一歩と、周囲の理解の重要性
名もなきハラスメントで苦しんでいるなら、自分ひとりで抱え込まないでほしい。「これくらいで気にするのは大げさかもしれない」と、自分の違和感にふたをしていないだろうか。しかし、うまく説明できないモヤモヤも、自分の心が発している大切なサインだ。ハラスメントに当たるかどうか、誰が正しいのかをすぐに決める必要はない。まずは、どの言動が気になったのか、なぜつらかったのか、その出来事によって何が変わったのかを整理してみることが、自分を守る第一歩になる。
相手に悪気がないことと、自分が傷つかないことは必ずしも結び付かない。立場の違いや周囲との関係によっては、その場で拒否したり、自分の気持ちを伝えたりするのが難しい場合もある。一人で抱え込まず、記録を残す、信頼できる人に相談する、相手と距離を取るなど、自分にとって負担の少ない対応を選んでほしい。
そして、自分にとっての「普通」が、相手にとっても同じとは限らない。誰かの違和感を「気にしすぎ」と決めつけず、立ち止まって耳を傾けること。それが、まだ名前のないハラスメントを減らすきっかけになるのではないだろうか。



