長崎市長、平和宣言で核兵器は「絶対悪」と訴え 被爆81年
長崎市長、平和宣言で核兵器は「絶対悪」と訴え 被爆81年

長崎は9日、被爆から81年の原爆の日を迎えた。長崎市の平和公園で開かれた平和祈念式典で、鈴木史朗市長は「平和宣言」を読み上げた。

被爆の惨状を伝える

宣言では、1945年8月9日に米軍機が投下した一発の原子爆弾が一瞬にして長崎のまちを破壊し、その年の終わりまでに人口の3分の2にあたる15万もの人々が死傷したと述べた。

13歳で被爆した故・吉田勝二さんの証言を紹介し、「爆心地の方に向かうと黒焦げで炭化した人、目が飛び出ている人、内臓が飛び出した人、手足がない人たちが右往左往していた。浦上川にたどり着くと、ここも焼けただれた多くの人が、油と血と汚れた水、その水を飲みながら次々に亡くなっていった。私は、全身血だらけ、皮膚は剥がれ体の下の方にだらりとぶら下がっていた。顔も皮膚は付いていたものの、どす黒く焼け焦げていた」と伝えた。

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吉田さんの顔には生涯消えることのない大きな火傷の痕が残り、周囲からの視線に苦しみ続けた。辛うじて死を免れた人々も、心身に深い傷を負い、放射線の影響でがんなどが発症することへの不安と恐怖を一生抱え続けていると述べた。

核兵器の現状と危機

現在、地球上に存在する核弾頭は1万2千発以上。国際社会に蔓延する相互不信と対立・分断を背景に、大国の「力による支配」が横行している。核保有国が当事者となったウクライナや中東の紛争も未だ予断を許さない状況で、核兵器の近代化や増強など、核軍縮に逆行する動きが加速していると指摘した。

核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議が核軍縮に向けた成果文書を3回連続で採択できなかったことも、この悪循環を浮き彫りにしていると述べた。

核兵器に依存する国は「核抑止論」を主張するが、「戦争という極限状況の中で自国の存亡を懸けた究極の判断を迫られたとき、それでもなお『核のボタン』を押さないと、誰が言い切れるのでしょうか」と疑問を投げかけた。

核兵器は「絶対悪」

広島・長崎への原爆投下は、人間が人間への核兵器使用という一線すら越えてしまう現実を突きつけたとし、被爆者や被爆地はその体験から「核抑止論は、極めて危うい。核兵器は『必要悪』ではなく『絶対悪』であり、人類と核兵器は決して共存できない」と確信をもって訴えると述べた。

「地球市民」に向けて、「平和の原点は、人間の痛みがわかる心を持つこと」という吉田さんの言葉を紹介し、相手の立場や苦しみに心を寄せ、分かり合おうと努力することが対立や衝突を避けるための大事な一歩となると呼びかけた。

指導者への要求

すべての国の指導者に向けて、国連憲章の理念に基づく多国間主義と「法の支配」を早急に取り戻し、人間の尊厳と基本的人権を守り、国際協調を通じて恒久平和と人類共通の繁栄を実現するという国連創設時の精神に立ち返るよう求めた。

核保有国と核抑止力に依存する国の指導者には、核抑止力に頼れば頼るほど核戦争の危険も高まる現実を直視すべきだと訴えた。

日本政府に対しては、今年初めて開催される核兵器禁止条約再検討会議に参加し、唯一の戦争被爆国としての歴史的使命を全うすべきだと要求。日本国憲法の平和の理念と非核三原則を堅持し、国際社会の緊張緩和と軍縮に向けた外交を強化すること、北東アジア非核兵器地帯の実現などを通じて核兵器に頼らない安全保障政策への転換を求めた。

さらに、平均年齢が86歳を超えた被爆者への援護の充実と、未だ被爆者と認められていない被爆体験者の一刻も早い救済を強く要請した。

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最後に、原子爆弾で亡くなられた方々とすべての戦争犠牲者に哀悼の誠を捧げ、「長崎を最後の被爆地に」の誓いを永遠の事実とするために、長崎は世界中の平和を求める人々と連帯し、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向けて歩み続けることを宣言した。