大阪市西成区のメダデ教会牧師・西田好子さん(76)は、日に日に悪化するマサミチの容体を前に、彼を連れて九州へ向かおうと考えた。たとえ弟の許可がなくても、せめてひと目、母親の姿を見せてやりたいという思いからだった。
手がかりのない施設探し
しかし、手がかりはなかった。高齢者施設といっても、福岡県内にどれだけあるのか見当もつかない。西田さんは記者に何度も電話をかけ、「あんた、新聞記者やねんから、どないかして捜されへんのですか」と迫った。実家の近所で聞き込みをすれば、入所先を特定できるかもしれない。施設に押しかけ、受付で親族だと告げれば、面会が許される可能性もある。
ただ、記者には本当にそれでいいのか判断がつかなかった。記者として、いや、それ以前に人として許される行為なのか確信が持てなかった。そんなやり取りを続けるうちに、マサミチの容体はさらに悪化していった。
取り寄せた附票に絶句
西田さんはマサミチの母を探すため、戸籍の附票を取り寄せた。そこに記されていた内容を見て、西田さんは絶句した。附票が示す事実が、彼女の思いを大きく揺るがせることになる。



