京都市桃陽病院、現行維持は困難 検討会が素案、事実上の廃止提案
京都市桃陽病院、現行維持は困難 検討会が素案、事実上の廃止提案

京都市伏見区にある公立病院・京都市桃陽病院について、市の検討会が「現行の病院として運営を継続することは困難」とする素案をまとめた。施設の老朽化や大規模な赤字を理由に、事実上の廃止を提案した形だ。病気や障害を抱える小中学生が入院しながら義務教育を受けられる全国でも珍しい病院で、利用者らからは存続を求める声が上がっている。

患者数と収支の悪化

桃陽病院は1952年、結核を患う子どもの療養の場として開設された。1970年代に隣接して支援学校が設置され、治療しながら教育を受けられる環境が整った。小児科、内科、発達小児科があり、近年は発達障害や精神疾患、家庭環境に課題のある子どもたちが入院するケースが多いという。

しかしコロナ禍以降、患者数は減少。2019年度まで年間延べ約1万人で推移した入院患者は、2024年度に5939人、2025年度は3475人で、1日あたりの平均は9.5人にとどまる。病床利用率は2019年度まで40%台だったが、2025年度は15.9%だった。

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患者減で収支は悪化し、2020年度以降、毎年度2億円超の赤字が続く。市は施設の建て替えや改修費が多額になることなどを踏まえ、医療や児童福祉の有識者でつくる検討会(座長=南島和久・龍谷大教授)を3月に設置し、同病院の今後のあり方を議論していた。

機能再編を提案

18日の検討会で示された素案では、同病院が果たしてきた役割について、生活習慣の改善や対人関係能力の形成など包括的な療養指導が行われていたと高く評価。一方、利用率の低下や慢性的な赤字、医師確保の難しさを挙げ、「現行の病院として運営を継続することは困難」と言及した。

ただ、病院が担ってきた機能は「今後も必要な機能として、市が維持・継承を図るべきだ」と指摘。病院という形にとらわれず、ニーズに合わせた機能再編が望ましいと結論づけた。再編の具体例としては、児童心理治療施設の活用や児童福祉センターの相談機能の強化、関係機関との連携体制の充実などを挙げた。その上で見直しに向けては、現在利用中の子どもや家族に十分配慮して進める必要があるとしている。

市は今後、検討会からの正式な報告書を受けて、市の医療施設審議会に諮り、最終的な方針を決める。

存続求める署名活動

「子どもを取り巻く環境は複雑化しており、ニーズは今後も高まっていくはずだ」。同病院の職員組合や障害者団体などでつくる「桃陽病院のこれからをつくる会」の松本隆浩さん(67)は、そう指摘する。病院の存続と拡充を求める同会は7月から署名活動を展開。約3週間で元患者や保護者らを中心に2486人分の署名を集め、今月13日に市へ提出した。

松本さんは「未来を担う子たちにお金を出すことは決して悪いことではない。赤字だからと切り捨てるのではなく、社会全体で子どもを支えるべきだ」と訴え、活動を続ける方針だ。

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