王将フードサービス元社長の大東隆行さん(当時72)を射殺したとして殺人罪などに問われた特定危険指定暴力団工藤会系組幹部、田中幸雄被告(59)の判決公判で京都地裁は16日、無罪を言い渡した。住宅街で企業トップが銃撃されるという凶悪事件。大東さんは王将と特定企業グループとの不適切取引の解消に尽力していた。京都府警などは事件との関連性を含め全容解明に乗り出したが、振り出しに戻る可能性がある。
無罪宣告にうなずき、一礼
16日午後1時半ごろ、被告は濃い紺色のスーツに白シャツ姿で眼鏡とマスクを着用し入廷。開廷後、落ち着いた様子で証言台前のいすに深く腰掛けた。無罪宣告の際は、まっすぐ裁判官を見つめ、納得した様子でかみしめるように数回うなずき、弁護側席に一礼した。その後も時折腕を組み直すなどして判決理由に耳を傾け、約70分に及んだ判決理由の言い渡しを聞き終えると裁判官にも一礼した。
検察側への厳しい指摘
「犯行の実像に結び付く事実が一切解明されていない」。判決では検察側に対し厳しい指摘が続き、検察官は終始硬い表情でメモを取っていた。閉廷後、被告は弁護人を通じてコメントを発表し「判決の言葉に溜飲(りゅういん)が下がるとともにこの4年の垢(あか)が洗い流された気持ちになった」と心情を吐露。「それでも犯人と思われた時点で人生が変わるし、失ったものも戻ってきません」と訴えた。
警察は「今後も全容解明目指す」
事件は平成25年12月19日早朝、京都市山科区にある王将フードサービス本社前で発生。遺体の急所には4発の銃弾が命中していた。捜査では凶器の拳銃が見つからず、犯行現場の目撃証言なども得られておらず、手慣れた犯行の様子や計画性の高さから反社会的勢力の関与が疑われた。警察幹部は「今後も全容解明目指す」としている。