神戸市長田区の山麓にある住宅地で6月のある深夜、バングラデシュからの留学生、ファルディン・ラハマンさん(24)はアルバイトから帰る途中、自宅近くで奇妙な光景を見た。狭く急な坂道を軽トラックが下ろうとして電柱に阻まれ、立ち往生していたのだ。
友人を呼び、2人で軽トラックを押す
運転手に助けを求められ、ラハマンさんは一緒に暮らす同郷の友人に電話した。「待って、すぐ行く」と友人は詳しい状況も聞かず、自宅からすぐに駆けつけた。ちょうど日付が変わり、6月23日になるころだった。
2人は急な斜面に立ち、軽トラックを下から押した。運転手はギアをバックに入れ、アクセルを踏んだ。軽トラックは少し後退した後、タイヤが空回りし、今度は坂の下に向かって2人を巻き込んで滑り落ち始めた。
友人は亡くなり、ラハマンさんは頭を打った
ラハマンさんはすぐに転倒し、頭を打ったが、けがで済んだ。軽トラックは友人をひき、そのまま坂を下り続け、道沿いの家の門柱に激突して止まった。友人は胸を押し潰されるなどし、亡くなった。
人助けをしようとして、留学生は亡くなった。日本に住む外国人が400万人を超える時代。関係者を取材すると、遺体の搬送や補償など、異国での不慮の死がはらむ困難さが垣間見えた。軽トラックはレンタカーで、運転手は「気が動転していた」と話している。



