特別天然記念物のトキが、新潟県・佐渡島から滋賀県高島市に飛来し、県内で初めて確認された。環境省が今月発表した。佐渡島で生まれた個体とみられ、放鳥開始以降、300キロ以上の移動距離は最長という。
6月と8月に確認
日本産のトキは2003年に野生個体が絶滅。環境省が中国から贈られたトキを人工繁殖で増やし、2008年から佐渡島で野生に放鳥する事業を行っている。昨年末時点で、野生下の推定個体数は473羽で、うち382羽が野生の環境で生まれた。
同省佐渡自然保護官事務所によると、飛来したトキは成鳥とみられる。6月18日と、8月21~29日のうち4日間、稲が刈られた田んぼや水田、大豆畑などでエサを食べる様子が確認された。足輪がついていないことから野生の個体とみられ、放鳥開始以降、初めて300キロ以上の飛来が確認された。
観察マナーに注意を
現地では、SNSなどで情報を得た撮影者や車が多く集まり、トキは観察によるプレッシャーでその場を離れたと考えられるという。
トキは水辺や湿地にすむカエルや小さな昆虫などをエサとし、それらが育つ豊かな水田やねぐらとなる大きな木々などがある場所を好む。水田では、川から水を引いていることや、殺虫剤を使っていないことなどが必要となるという。
首席自然保護官の北橋隆史さんは「トキが数日間滞在していたということは、高島市の環境が優れていたのだろう。大勢の人が集まるなど社会的な環境が良くなかったのが残念だ」と話す。
トキは佐渡島での繁殖に一定のめどがつき、5月に能登半島で本州初の放鳥を開始し、来年6月には島根県出雲市でも予定されている。他の地域への飛来や定着が期待されるといい、北橋さんは「見かけたら離れた場所からそっと見守り、トキの居場所が特定されるような情報発信を控えるなど、観察マナーに注意を払ってほしい」と呼びかけている。