冬季五輪・パラリンピックの招致活動を巡り、札幌商工会議所の安田光春会頭ら経済界の代表が19日、札幌市の秋元克広市長を訪問し、招致活動の再開を求める要望書を手渡した。
札幌市は東京五輪を巡る汚職事件などを受け、2023年12月に招致活動を停止していた。しかし、経済界からは招致を望む声が根強く、今回の要望書提出に至った。
要望書の内容と経済効果
要望書は、札幌商工会議所、北海道商工会議所連合会、北海道経済連合会、北海道経済同友会、北海道観光機構の連名で提出された。招致活動の再開を明確に宣言することや、招致・開催を通じて観光振興や産業振興を幅広く推進することなど、6項目が盛り込まれている。
また、前回の招致活動で収支計画を含む財政面への住民の理解が得られなかったことを指摘し、開催意義や費用負担などを市が丁寧に説明し、道民や市民の理解と合意形成を得ることを求めた。さらに、今年のミラノ・コルティナ大会を参考に、既存施設を活用した広域開催の検討も求めた。
札幌商工会議所は独自に算出した五輪招致による経済効果も示した。招致決定から大会終了までの約7年間で、道内の経済波及効果は約9300億円、雇用効果は約7万4000人に上ると試算。大会終了からの10年間では、経済波及効果が約1.9兆円、雇用効果が14万9000人としている。
経済界の期待と懸念
安田会頭は「札幌の未来の街づくりを加速させるためにも、招致活動の再開を要望します」と述べ、秋元市長は「皆様の思いを重く受け止め、検討を進めていきたい」と応じた。
札幌商工会議所が今年5月に行ったアンケート調査では、会員企業911社のうち、招致活動再開の検討に前向きな企業が79.5%に上った。札幌を除く道内41地区の商工会議所を対象にした意向調査でも、92.7%が前向きだった。
開催に期待する効果(複数回答)は、「地域経済の活性化」(78.8%)が最多で、「観光振興・交流人口の拡大」(68.5%)、「北海道ブランド・都市ブランドの向上」(64.8%)と続いた。一方で、懸念点(複数回答)は、「開催費用・財政負担」(74.2%)、「市民・道民の理解不足」(58.5%)、「大会後の施設活用」(48%)だった。
安田会頭は「五輪招致は、交通、福祉、教育、防災などの地域課題の解決につながる好機。開催後の効果も含めて丁寧に説明しながら、招致活動を進めてほしい」と期待を語った。



