福岡県議会が正副議長ポストを巡る現金授受疑惑などで揺れている。地方自治への信頼を損なう深刻な事態だ。
現職県議2人が現金授受を証言
現職の県議2人が正副議長就任に際し、自民党県議団の幹部に現金を渡したと実名で証言した。県議会は予算などの議決機能や行政への監視機能を担う。その議会を代表する正副議長の座が金銭のやり取りで決まっていたとすれば言語道断で、県民への背信行為だ。
自民を離党した吉松源昭県議と自民の江藤秀之県議が、令和2年6月の正副議長就任に際して自民県議団の複数の幹部に計約2750万円を渡したと語った。支払先として名指しされた中尾正幸前副議長は県政混乱の責任を取り議員辞職したが、受領はなかったとしている。
「慣例」との認識に倫理観の麻痺
吉松氏は「カツアゲ的な要求だった」、江藤氏は「慣例として必要なお金だと認識していた」と述べた。慣例だったとすれば、関係者の倫理観は麻痺していたと言わざるを得ない。
自民以外の会派の元副議長は就任前、県政に大きな影響力を持つとされる蔵内勇夫現議長に500万円を渡したと匿名で証言した。蔵内氏は「本人の勘違いではないか」と受け取りを否定している。
第三者委設置も鍵は蔵内氏
実態解明に向け蔵内氏は第三者委員会を設置する考えを示した。徹底的に調査してもらいたいが、鍵を握るのは「県議会のドン」と呼ばれる蔵内氏自身だろう。全国都道府県議会議長会の会長や世界獣医師会会長などの要職も務める蔵内氏には、真摯な態度で第三者委の調査に応じてほしい。
福岡県政を巡る問題はほかにもある。県幹部の親睦団体「部課長会」は、会費を県議会議長らのパーティー券購入に充てていた。なれ合いだという批判を受け、服部誠太郎知事は、県議が地位を利用して職員に不当な要求をすることを防止する条例の策定を表明した。制定は妥当だが、このような条例が必要になったことを県議らは恥じたらどうか。
知事や県議の多額な税金を使った海外視察も問題化しており、県は第三者委で検証する方針だ。一連の問題について、県と県議会が真相を徹底的に解明しなければ、県政に対する信頼の回復はおぼつかない。



