「news zero」のメインキャスターを務める藤井貴彦アナウンサーが、熊本地震の被災地入りしたことに批判が集まっている。メインキャスターの独断で現地入りできるわけではなく、番組全体のバランスを考えたいわゆる「総合的な判断」によって派遣が認められるが、視聴者にとっては「番組の顔」で評価せざるを得ない。その結果、キャスターに火の粉が飛んでくるのだろう。
視聴者に見えていない、熊本への思い入れ
視聴者は良くも悪くも、出演者を一面的に見るため、死角となる側面が存在する。具体的に言えば、藤井アナ自身は、熊本にかなりの思い入れがあるように見受けられる。まさに筆者は“視聴者”として、それを感じてきた。
RKK(熊本放送)に「水曜だけど土曜の番組」というバラエティーがある。これは熊本ローカル番組だが、TVerを通して全国から視聴可能だ。藤井アナは、この番組のファンを公言している。
系列を越えた交流のきっかけ
RKKはTBS系列であり、藤井アナにとっては他系列にあたる。それでも日テレ在籍時から、同番組をTVerで視聴していた。きっかけは2023年7月、平成28年熊本地震で被災した南阿蘇鉄道の全線運行再開だ。高森駅での取材に訪れていた藤井アナが、同じく現地にいた「水曜だけど土曜の番組」の糸永有希アナに声をかけ、番組のファンであることを明かした。これを機に、系列を越えた番組との交流が深まったのだ。
交流はその後も続き、藤井アナは関連のラジオ番組に音声メッセージで出演したり、2024年10月には局のイベント「RKKまつり」の公開生放送にも登場。熱量高く、番組や熊本の魅力を語っていた。
好感度は資産ではなく負債に変わる
ただし、どれだけその地域に愛着があろうと、それは批判に対する免罪符にはならない。藤井アナにいま問われているのは、日テレ社員時代に積み上げた「寄り添う人」の貯金でしのぐのか、それとも独立後の新しいキャスター像を、自らの手で示せるのかだ。なるべく早急に後者を示せない限り、今回のマイナスの印象だけが貼り付いてしまう。
好感度は、資産のように見えて資産ではない。積み上げるのに何年もかかる一方、「その人らしくない」と受け取られた瞬間に一気に目減りする。貯金は、使い方を誤れば負債に転じる。
しかも、組織の看板を外した個人ほど、行動のすべてが「自分の判断」として捉えられる。独立や転身が当たり前になった時代、藤井アナが立たされているのは、いずれ多くの人が立つ場所かもしれない。



