元エース保険調査員「中立的にみていた」保険金詐欺で被告人質問
元エース保険調査員「中立的にみていた」保険金詐欺で被告人質問

保険金詐欺グループが全国で古民家などを狙った放火・保険金詐欺を繰り返し、計約1億2800万円をだまし取ったとされる事件で、元保険調査員の深町優将被告(55)の論告求刑公判が30日、岡山地裁で開かれた。検察側は懲役14年を求刑し、この日の被告人質問で深町被告は一連の事件を「中立的にみていた」と述べた。

「中立」発言の波紋

被告人質問の終盤、裁判官から「保険金詐欺がうまくいけばいいと思っていたか」と聞かれ、深町被告は「正直、それは保険会社の判断ですが…どちらかというと中立的にみていました」と答えた。被告は放火の実行役を務めており、「中立」という主張は波紋を呼びそうだ。

被告は令和4年5月に自身の保険調査会社を設立する際、グループの指示役とされる稲葉寛被告(58)に資本金100万円を出資してもらった恩義から、放火や保険金詐欺を断れなかったと説明している。

「エース」と呼ばれた経歴

関係者によると、深町被告は保険調査業界最大手「損害保険リサーチ」(東京)に長年在籍し、火災調査に精通し、「エース」と呼ぶ人もいた。退職は5年3月とされ、在職中に会社を立ち上げていた。

稲葉被告による資本金出資について、複数の損保リサーチ関係者は「100万円の出資金も(深町被告が)自前で用意できないとは信じられない」と首を傾げる。同社在籍時の深町被告の年収は1000万円を下らなかったという。

税金滞納との関係

8月の初公判では、深町被告が20年ほど前から税金を滞納し始め、多額の追徴課税を受けていたことが検察側から明かされた。滞納額は事件前には1000万円以上に達し、税目は公判で明らかになっていないが、別の関係者によると地方税の可能性が高いという。

損保リサーチ関係者によると、深町被告は在職中「数億円の不動産物件を持っていたことがある」と周囲に語っていたといい、この関係者は「マンションか商業ビルを購入した際の不動産取得税(地方税)ではないか」とみる。在職中、行政機関が滞納税金の徴収で損保リサーチ社に給与の差し押さえを行っていた情報もあるという。

深町被告はこの日の被告人質問で、だまし取った保険金の分け前で滞納した巨額の税金を支払う「打算的な考えもあったが(グループに加わった)大きなウエートではない」と否定し、稲葉被告への恩義と恐怖心から断れなかったと繰り返した。検察側や裁判所は税金滞納については言及しなかった。