近年、自然災害の激甚化が著しい。にもかかわらず、被災者の命を守る避難所の環境が一向に改善されない。災害関連死を防ぐためにも、早急に環境整備に取り組むべきだ。
この夏の災害と課題
7月には熊本県で最大震度7の地震が起き、多くの人が亡くなった。防災拠点だったイオンモール熊本で爆発が起き、専門店の従業員が犠牲になる悲劇もあった。
翌8月には、千葉県や北陸3県が記録的大雨に見舞われた。千葉では冠水した道路で水につかる車が続出し、死者も出た。
気象庁は今春、大雨などの危険度を示す防災気象情報の運用を始めたが、最も危険度の高いレベル5の発表が相次いでいる。安全確保のため、線状降水帯の発生予測の精度向上が欠かせない。
避難所環境の現状と対策
防災の日の1日、各地で防災訓練が行われた。災害はいつ、どこでも起こり得ると思い知らされたのが、この夏の経験だ。適切な避難行動を考える契機としたい。
今夏から「酷暑日」と呼ばれるようになった、最高気温40度以上の日も目立つ。被災地では、厳しい暑さによる熱中症との「複合災害」の危険が続いている。
関連死を防ぐには避難生活の環境が重要になる。政府は2年前、自治体向けの避難所運営指針を改定した。「トイレは20人に一つ」「入浴施設は50人に1か所」など国際基準に沿った内容だ。
熊本地震では、仮設トイレやトイレカーなど約300台が被災地に届けられた。水の再生利用に取り組む企業「WOTA」(東京)は、使用後の水を繰り返し使える簡易シャワーや手洗い台を避難所など100か所に設けた。
国主導の運営と外国人支援
いずれも全国の自治体などから集められた。有事の際には、こうした生活必需品を円滑に融通しあえるよう、地域間の連携を強化することが大切だ。
一部の避難所では、段ボールベッドや、被災者のプライバシーを守る間仕切りが届かない状況も生じた。支援物資の供給が滞る事態は過去にも繰り返されているが、なかなか改善されない。
避難所を運営する自治体の職員は、その多くが被災者でもある。自治体によって人手や予算にも差がある。自治体任せではなく、国が運営を主導すべきだろう。
400万人を超える在留外国人への情報提供にも注力する必要がある。多くは災害の知識や経験が乏しく、言葉の壁もある。地域の事情に詳しい外国人に母国語で情報発信してもらうなど、工夫を凝らしてもらいたい。



