防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」(防衛省ファンディング)に、過去最多の応募が集まった。今年度の採択結果が10月20日に発表され、大学と高等専門学校による応募は291件で、昨年度の123件から2.36倍に増加した。企業や公的な研究機関を含む応募全体は560件に上る。
小泉防衛相「大学・学術界の姿勢は明らかに変わってきた」
小泉進次郎防衛相は20日の閣議後会見で「大学・学術界の姿勢は明らかに変わってきた。歓迎したい」と述べた。名古屋大や大阪大などが初めて採択されたことが背景にある。
神戸大は今回、9件を初めて申請した。同大は制度が始まった2017年に「研究成果は軍事目的ではなく平和利用されるべきだ」とする学長通知を出し、参入しない方針だった。しかし、藤沢正人学長が2025年4月に方針を転換し、日本学術会議が「先端科学技術とデュアルユースの線引きは困難」と言及したことを理由に応募を解禁した。
学内からは懸念の声も
神戸大の方針変更を受け、教職員組合の有志は反対声明を出した。緊急講演会では学生から「世界的に緊張感が高まっているタイミングでなぜ」という意見も出た。同大は方針変更の詳しい経緯を公表していないが、朝日新聞の情報公開請求で今回9件を申請していたことが分かった。
神戸大の教職員組合委員長で国際人間科学部の井口克郎准教授は「防衛省とパイプを作り、軍学一体に向けて片足を踏み入れてしまった」と懸念を示す。
名古屋大は「戦争を目的とする学問研究と教育には従わない」とする平和憲章を1987年に定めており、今回1件が初めて採択された。名大職員組合は20日、平和憲章との整合性を問う声明を出した。